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2,022

ヨーロッパ写真日和VOL.113『スイス・バイエラー財団美術館でモネ展を』

こんにちは、吉田タイスケです。前回に引き続き、曇り空のスイスはバーゼルからお届けします。

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今回はトラムに乗って、バイエラー財団美術館へ。降りる駅を間違えて、終点の先まで乗ってしまいました。どおりで、誰もいなくなったと思った(運転手さえも、、)。

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バイエラー財団美術館は、2017年で創立20周年。あとで知ったのですが、スイスで一番入場者数が多い美術館のひとつだそうです。自分が訪ねた際の特別展のテーマはモネ。スイスでは10年ぶりとなる、大規模なモネ展だったのですが、、うーん、モネかぁ、、、←オイ。贅沢ですが、この次の特別展がドイツの写真家ヴォルフガング・ティルマンスだったので、そっちが見たかったかなあ。

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気を取り直して現地到着。こちらはカフェ、レストランエリア。

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こちらが展示棟。パリ、ポンピドゥーセンターの設計も手がけたイタリア人建築家、レンゾ・ピアノの手によるものです。自然光を多く取り入れた造りには、調和と開放感があります。アートディーラーとして名を馳せたバイエラー夫妻が、約50年に渡って収集したコレクションを一般公開するために設立、1997年にオープンと、、。私設美術館ながら、例えば今回のモネ展でもオルセー美術館や、メトロポリタン美術館からも作品を集められるのは、ひとえにバイエラーさんの手腕によるところが大きいそうです。年中無休というのは、観光客には有り難いですね。

バイエラー財団美術館
http://www.myswitzerland.com/ja/foundation-beyeler.html

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では、モネ展を歩きましょう。館内はiphone以外撮影禁止ということで、今回はこの先iphone写真でご容赦ください!

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「ヴェトゥイユのテラス 1881 個人所蔵」
印象派モネの真骨頂。5月の風に吹かれて揺れる薔薇や木漏れ日が、そのまま、今目の前にあるかのようです。ここに描かれているのは奥さんではなくて、当時モネのパトロンであったエルンスト・オシュデの妻、アリス。パトロンと言ってもそのオシュデさん、この絵が描かれる数年前に破産して疾走。奥さんアリスと6人の連れ子が、モネ家庭に転がり込んできて、パリ北西部、セーヌ川沿いの街ヴェトゥイユで共同生活をするようになります。それから数年経済的な苦境が続きますが、画商のサポートも得て、心機一転画業の道に勤しむと立ち上がった頃の作品、、だそうです。絵画の中には不倫の噂も、苦境も見えません。ただ、穏やかな時間があるだけ、、。

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作品を観る人たち。

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「ヴァランジュヴィルの漁師小屋 1882 ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館所蔵」
こちらも先のテラス同様、モネが苦境から立ち上がろうという頃。ジヴェルニーに居を移す前の絵ですね。明るくて、気持ちがいい。

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「セーヌ河の朝 1897 シカゴ美術館所蔵」
モネ56-58歳にかけて、ジヴェルニー近郊で描いた連作の一枚。刻々と移り変わる大気の光と色が、水面に映り溶けていくよう。幻想的で、抽象画を思わせます。さすが巨匠←は?。

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特別展を経て、常設展示の空間へ。

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観ている人も含めてかっこいい、エルズワース・ケリーの作品「Lake II 2002」の前にて。タイトルは湖ですが、くっきりとした青が、空や宇宙まで感じさせますね。

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マティスの部屋。マダムのセーターが、妙に空間とシンクロしている、、、。

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広い庭と、睡蓮が咲く池に面した窓。睡蓮は、常設しているモネの作品に呼応して配されたようです。

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クロード・モネ「睡蓮の池 1920 バイエラー財団所蔵」

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最後に紹介する絵はこちら。アンリ・ルソー「飢えたライオン 1905 バイエラー財団所蔵」。3m x 2mの大きな作品です。
フランス後期印象派、素朴派として位置付けられる画家、アンリ・ルソー。まだ無名だった当時、路上販売されていたルソーの絵をピカソが見つけ、その才能を確信、会いに行ったというエピソードは「印象的」です。遺作となった「夢」(MOMA所蔵)も、この「飢えたライオン」もフランスにはないのが残念。重層的に描かれたジャングルの緑は、その絵の前に立つと、不思議な空間に引きこまれるかのようです。どこか夢の空間というか。

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池の反射をモネのごとく心に留めつつ、スイスを後にします。バーゼルから絵画散歩をお届けしました。次回は一路ヨーロッパを越えて、アジアへ。
ParisではなくBaliから、インドネシア写真日和となる予定です。どうぞお楽しみに。

ヨーロッパ写真日和VOL.113『スイス・バイエラー財団美術館でモネ展を』staff

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