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『新しくなったペン駅』ニューヨーク・ニューヨークVOL.118

今日は、マディソンです。

日本からニューヨークに来る場合、一番多いのがケネディ空港入りでしょうか。そうそう、お隣のニュージャージー州にあるニューワーク空港というケースもありますね。アメリカ国内からマンハッタンに入るには、空からでしたらラガーディア空港なんですが、同じ東海岸の南や北から来る場合、飛行機より、列車のアムトラック線を使って、ペン駅から入る場合が多いです。

というのも9月11日に起こったワールドトレードセンターへのテロ攻撃以来、空港警備が厳しくなって、手荷物制限も大幅に変わってしまいました。アムトラックの列車の方が格段にゆったりできるうえに、マンハッタンの中心に列車が入ってくるため、空港からのタクシーで交通渋滞に巻き込まれることもありませんし。

それでペン駅に到着したはずなんですが、いつもの場所ではなく、到着したのはモイニハン・ホールという新しい駅、建物的には8番街を挟んで向かいの郵便局跡にできた新しい駅のようです。

ホールの名前の由来となった、ニューヨーク上院議員ダニエル・パトリック・モイニハンです。

実はペン駅はもともと美しい設計で、ニューヨーク中央駅のグランドセントラルにも劣らないほどだったんですが、1953年にマディソンスクエア・ガーデンという巨大スポーツスタジアムを建てるために取り壊されてしまいました。これをモイニハン議員は嘆いて、美しいペン駅を取り戻そうと呼びかけ、結果ペン駅の通りを挟んだ向かい側にモイニハン・ホールが誕生したというわけです。

マディソンスクエア・ガーデンでは、バスケットなどNBAの試合がマンハッタンの中心で多々見られるばかりでなく、シンガーたちもたくさんコンサートをしてきました。日本からはXジャパンもここで行いましたし、未だにコメディショーでパロディされる、マリリン・モンローがケネディ大統領にバースデーソングを歌ったのもここです。幾ら昔を嘆いていも、だからと言ってマディソンスクエア・ガーデンを取り壊して元に戻すわけにもいかないので、それで、通りを挟んだ郵便局跡に拡張した、ということなんですね。

ホール内ショップですが、まずはニューヨーク・カップケーキ定番、マノリアベーカリーのショップがありました。マノリアは確か8年くらい前から、表参道にも出店していますね。

ニューヨークで創業したのは1996年、ウエストビレッジに初めてオープンしたそうです。一躍アメリカでも人気爆発したのは、何といってもサラ・ジェシカ・パーカーの“セックス・アンド・ザ・シティ”からですね。サラ・ジェシカ演ずるキャリー・ブラッドショーが住んでいるアパートのすぐそばにあるという設定でした。ピンクのカップケーキをほおばるキャリー。そのカップケーキがあまりに少女っぽく、また美味しそうで、いつか必ず一度は食べてみたいと思った大人の女性は世界中にいたと思います。



これ、紙で出来た花束なんですよ。話題のラブポップのショップです。

花が飛び出るカード、つまり3Dカードで、テレビで人気のアメリカ版“マネーの虎”のような“シャーク・タンク(サメが泳ぐタンク)”で紹介されたときに、パネラーの一人ケブンが大絶賛して12ミリオンダラー(13億2千万円、1ドル110円)が調達できた会社です。

起業したのは、元海軍の船の設計士たちで、ウォンビー・ローズとジョー・ワイズの二人。ベトナムのホーチミン市の街角で、ポップアップするカードが売られているのを目にして、これだ!とインスピレーションを受けたんだそう。

ちなみに、アメリカでは毎年7ビリオンダラー(7,700億円)ものカードが購入されているそうなので、シャーク・タンクのパネラー、ケブンによると、ラブポップが1ビリオンダラー企業の代名詞“ユニコーン”になる日も近いとのことです。大体が12ドル(1,320円)程度なので普通のカードよりは高額なんですが、花束の代わりにもなるというところ、普通のカードよりよっぽど贅沢に受け止められるところが勝負ポイントのようです。



ブルーボトル・コーヒーのショップも。ブルーボトルは日本にも進出していて、青山や六本木などの街にショップがあるので、皆さんの中にもお試しいただいた方がいらっしゃるかもしれませんね。

実はまだ開いてはいないんですが、この看板によると秋にはフードホールもオープンする予定だそうです。段々活気づいてくる気配がして、どんなショップがオープンするのか、今からとっても楽しみですね。

8番街を挟んで、マディソンスクエア・ガーデンの向かい側の、郵便局跡地の建物が、モイニハン・ホールとなりました。実はこの旧郵便局の建物は近年、ニューヨーク・コレクション会場として多々使われてきていたので、9月と2月、よく足を運んだ場所なんです。

街角のゴミ箱なんですが、ゴッホ展の宣伝でしょうか。そうそう、仮想現実を駆使したゴッホ展が、全米の幾つかの都市で開催されています。チケットは大人52ドル30セント(5,753円)、子供が41ドル40セント(4,554円)で体験時間は一時間くらいだそうですが、実はVR展示については賛否両論あるようです。

ようやく人が訪れ始めた美術館などのイベント会場としては、変わった試みで勢いをつけることは大歓迎らしく、また普段はアートに馴染みのない、特に子供たちなどのアート入門編としては大人気なんです。ただアート界からは、“このイベントは長すぎるTikTok動画のようにあまりに商業的で、生前はあまり知名度もなく、精神的な悩みも抱えていたゴッホがマーケティング的に浅く使われているだけ”という酷評が沸き起こっています。

とはいえ、今後も仮想現実やバーチャルリアリティーでアートを体験しようという試みは、確実に増えていく気がしますね…。

ここにもあります、ブルーボトル。美味しいので、あちこちにあると便利ですよね。

ブルーボトル・コーヒー創業者のジェイムズ・フリーマンが、6ポンド用(約2.7キログラム)という小さな焙煎機を使って、焙煎したてのコーヒーを提供するショップを2000年に立ち上げたのがスタートです。1600年代、ヨーロッパをせめていたトルコがウィーンに侵略したとき、アラビア語とトルコ語に堪能なフランツ・ゲオルグ・コルシツキーが大活躍して、とうとうトルコ軍は撤退に追い込まれました。敗退するトルコ軍が置いて行ったコーヒー豆をその活躍の褒章として手に入れたコルシツキーが、ウィーンで初めて開いたコーヒーショップの名前が、実はブルーボトルだったんです。

フリーマンはこのコルシツキーに敬意を表して、自身のコーヒーショップも、ブルーボトルと名付けたんだそうです。

このベンダー最近よく目にしますが、人気のステーキ・ベンダーです。白いご飯の上に、ソースに付け込んでからグリルされたステーキ、蒸した野菜とフライドポテトがついて9 – 10ドル(990円から1100円。)ステーキ・ランチがお手ごろな価格で楽しめるとあって、ランチタイムには長蛇の列ができるほどです。

注文を聞いてからグリルするので手間と時間がかかりますが、味はとってもジューシーと評判なんですよ。マリネソースには、チョップオリジナル、バジル、ゴマ、カレー味の他に、クラッシック味というのがあって、クラッシックだけが10ドルで他は9ドル。お天気のいい日などオフィスに戻らないで、爽やかな秋風が吹く公園でランチを楽しむのもいいですよね。

それにしても、このベンダーが大成功なのに、なぜいきなりステーキはニューヨークで流行らなかったんでしょう…。

6番街を挟んだブライアント・パークの向かい側に、セールスフォースのオフィスがあります。IT業界では超がつくほど有名な、当時オラクル幹部だったマーク・ベニオフが1999年に創業した顧客管理サービス・ソフトウェアの会社です。創業からわずか5年後の2004年には既にニューヨーク証券取引所で上場、110ミリオンダラー(121億円)を調達しました。もちろん東京にも進出していますから、日本のIT業界で知らない人はまずいないでしょう。

アメリカの場合、西海岸のファッション・ブランドもそうですが、サンフランシスコで創業したIT企業、もれなくマンハッタンにやってきてオフィスを構えるのがトレンドのようですね。



今日はお天気がとってもいいので、ブライアント・パークも賑わっています。

6番街を挟んで、セールスフォースに向かってたっているのが、ベニト・ワレズの像。正式には、ベニト・パブロ・ワレズ・ガルシアという名前の、メキシコ人弁護士であり政治家、第26代メキシコ大統領の像だそうです。フランスの植民地化を退けた大統領として知られていますが、この像は彼の故郷のオワクサカ州から2004年の10月、このブライアント・パークに寄贈されたと聞いています。メキシコを離れても、ブライアント・パークはいつも賑やかなので、寂しい感じは漂っていません。

さて、如何でしたか。

朝晩がすっかり冷えてくると、日中の温度は上がっても夏のような湿度がないので、公園の日陰に座って、過ぎていく秋を惜しみたくなりますね。マンハッタンには、セントラルパークやブライアント・パークなど、ゆっくり季節をかみしめられる公園がたくさんあって、そんなところも気に入っています。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。

『新しくなったペン駅』ニューヨーク・ニューヨークVOL.118Takashi -タカシ-

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