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世界を巡って東京へ。「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展レポート

こんにちは。ファッションエディターのKonatsuです。

2022年12月21日に東京都現代美術館で開幕し、早くも話題の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展。そこには、憧れのディオールのドレスを、日本ならではのクリエイティブと共に間近で見られる夢のような空間が広がっていました。

パリから始まり、ロンドン、ニューヨーク、そしてついに東京へ。世界を巡回してきたディオール展覧会の日本開催の様子を、余すことなくレポートします。

ディオールの「ニュールック」

1947年春夏コレクションで発表されたディオールの「ニュールック」(写真:AXES) ディオールのクリエイティブ ディレクターが手がけたルック(写真:AXES)

エントランスを入り出迎えるのは「バー」ジャケットとモノトーンのコレクション。ゆったりなだらかな肩に、ウエストを絞り裾が広がった「バー」ジャケットと、フレアスカートを組み合わせたスタイルは「ニュールック」と呼ばれ、戦後の世界で多くの女性たちから愛されました。曲線の美しいシンプルかつエレガントなルックが並ぶ、ディオールらしい空間です。

ディオールの伝統と日本との関係性

世界各地を巡回してきた展覧会でも日本開催ならではの魅力が、日本文化を取り入れたディオールのコレクションや、日本とディオールの絆を感じられる展示。

ディオールは日本に最初に進出した西洋のファッションブランド(「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示説明文より)。1953年には大丸や鐘紡と契約を結び、両企業がディオールの型紙を使用して服を仕立てたり、ディオールのショーが帝国ホテルで開催されたりなど、日本のファッション界に大きな影響を与えました。ディオール自身も日本のファッションデザイナーと交友を深め、日本の生地文化に影響を受けています。

1953年、帝国ホテルのファッションショーで発表されたコレクション(写真:AXES)

こちらは帝国ホテルで開催されたファッションショーで発表された5着。それぞれのドレスに「Rashomon(羅生門)「Utamaro(歌麿)」「Tokio(東京)」など、日本にちなんだ名前が付けられています。

2007年にジョン・ガリアーノが発表した葛飾北斎「富嶽三十六景」の浮世絵風ドレス(写真:AXES) 2007年、「蝶々夫人」をテーマにジョン・ガリアーノが発表した着物風のコレクション(写真:AXES) 桜が散りばめられたマリア・グラツィア・キウリのコレクション(写真:AXES)

葛飾北斎「富嶽三十六景」の波をモチーフにしたドレス、着物風ドレスやしぼり生地のドレス、桜をあしらったドレスなどが、障子で囲まれているような空間に並びます。ディオールと日本の絆を感じられる生地や柄は、時間を忘れて細部まで見入ってしまうほど。

コレクションのほか、日本の企業や皇室との関係が分かる資料やスケッチ、動画などもたくさん展示されています。

ドレスをさらに美しく魅せる日本人アーティストの作品

高木由利子さんが撮り下ろした写真の展示(1/2)(写真:AXES) 高木由利子さんが撮り下ろした写真の展示(2/2)(写真:AXES)

建築家の重松象平さんが演出を手掛けた空間と、写真家の高木由利子さんが撮り下ろした写真も日本開催ならではの見どころ。

重松さんが手掛ける空間は部屋ごとに雰囲気が変化し、ドレスの制作背景や時代背景が描かれた物語のようでした。高木さんが撮影した残像が印象的な写真は、すみぐろの背景と自然光が特徴。曖昧な日本の美しさと、しなやかなディオールのオートクチュールが融合してなんとも素敵です。高木さんの写真はポスターやポストカードといったグッズにもなっていますよ。

各時代を彩るディオールのクリエイティブ ディレクター

ジョン・ガリアーノのコレクション(写真:AXES) ジャンフランコ・フェレのコレクションとスケッチ(1/2)(写真:AXES) ジャンフランコ・フェレのコレクションとスケッチ(2/2)(写真:AXES)

続いての展示は、過去から現在のディオールを彩ったクリエイティブディレクターたちのコレクション。舞台衣装のようなカラフルで煌びやかなドレスから、シックなモノトーンのスーツまで、75年を越えるディオールの歴史が感じられます。中にはイヴ・サン=ローランのコレクションも。

ディオールのアトリエを感じられる空間

真っ白のトワルが並ぶアトリエのような空間(1/2)(写真:AXES)
真っ白のトワルが並ぶアトリエのような空間(2/2)(写真:AXES)

部屋を埋め尽くす真っ白の「トワル」。型紙や仮縫いなど服作りの過程が見られ、ディオールのアトリエに足を踏み入れた感覚に。同じ白でも素材や形によって印象を変えるドレスの繊細さに見とれてしまいます。巷では「白は200色ある」と話題ですが、本当に200色あるのかもしれません。

カラー別にディオールのアイテムが並んだ展示(写真:AXES)

パリをはじめとした世界の展覧会でも人気だった、ディオールのアイテムがカラー別に並んだグラデーションの展示。ジュエリーやレザーアイテム、ミニチュアドレスに心が躍ります。“推しカラー”のお気に入りアイテムを見つけるなんていう楽しみも。

日本庭園に浮かぶフラワードレス

ミス ディオールのCMでナタリー・ポートマンが着用したドレス(写真:AXES) 水面に浮かんでいるようなフラワードレスの展示(1/2)(写真:AXES) 水面に浮かんでいるようなフラワードレスの展示(2/2)(写真:AXES)

俳優のナタリー・ポートマンが人気フレグランス「ミス ディオール」のCMで着用したドレスも展示された、日本庭園がイメージの空間。天井から垂れ下がる藤の花の切り絵と、水面に浮かんでいるようなフラワードレス、橋のような通路が、花を愛したディオールのガーデンを日本らしく演出していました。

世界のスターがイベントなどで着用したドレス(写真:AXES)

ナタリー・ポートマンの他にも、ディオールのクチュールを身につけたスターがたくさん。次の部屋では、マリリン・モンローをはじめとした世界のセレブがアカデミー賞などで実際に着用したドレスが、キラキラの空間に並びます。

アトリウムに広がるディオールの舞踏会

アトリウムに並ぶディオールのドレスとプロジェクションマッピング(写真:AXES)

地下2階から地上1階まで吹き抜けになったアトリウムに、ディオールの夜会服がずらっと並んだ空間はまるで舞踏会。プロジェクションマッピングの煌びやかな演出が夢の世界に誘います。こちらの展示は上からと下から、違った見方を楽しむことができますよ。

持ち歩ける芸術「レディ ディオール」

一面に敷き詰められた様々なデザインの「レディ ディオール」(写真:AXES)

壁と天井一面に広がる、色も大きさも様々な「レディ ディオール」。デザインが全く異なる中でも、チャームとカナージュがディオールを象徴しています。有名アーティストから若手アーティストまで、思い思いに手掛けた持ち歩ける芸術作品の数々は圧巻でした。

世界の文化に敬意を表した巡回展の締めくくり

世界の文化を感じられるドレスのコレクション(1/2)(写真:AXES)
世界の文化を感じられるドレスのコレクション(2/2)(写真:AXES)

巡回展の最後は世界の文化からインスピレーションを受けたドレスを展示。古代エジプト、ラテンなど各国のエッセンスを感じることができます。

美術館を後にしても夢心地が続く素敵な展覧会。ディオールの歴史を体感できるのはもちろん、ディオールが愛しドレスに取り入れた日本文化から、新たに気付く日本の美しさがたくさんありました。ディオールへの憧れと共に、日本文化への誇りも高まる「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」展は5月末まで開催しています。皆さんもぜひディオールの夢の世界を体験してみては?

「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」
会期:2022年12月21日(水) – 2023年5月28日(日)
開催時間:10:00 – 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F
観覧料:一般 2,000円 / 大学生・専門学校生・65歳以上
1,300円 /中高生以下無料
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館

世界を巡って東京へ。「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展レポートstaff

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