ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

866

ヨーロッパ写真日和VOL.172『白ワイン銘醸地、ブルゴーニュ地方はシャブリ村から』

こんにちは、吉田タイスケです。目の前は凍てつくブドウ畑。
ここは冬のブルゴーニュ地方、白ワイン銘醸地シャブリです。フランスに住むまで知らなかったんですが、カマンベールが村の名前であるように、シャブリも白ワインを指すのではなく(当たり前?)、そもそもは人口約2000人の小さな村の名前です。
川から湯気が上がるくらい寒い季節に、パリから車で1時間半、シャブリ地方を訪れました。

一房残された白ブドウ。

まずは駆けつけ一杯、よく冷えたシャルドネをお召し上がりください。

シャブリ村を望む丘の上から。フランスで有名なワイン産地はいくつかありますが、その中でも土地の高低差があって特に風景に見応えがあるのは、ボージョレとブルゴーニュだと思います。

現在シャブリでワインを生産している土地は、遥か古代は海だった場所です。キンメリジャンと呼ばれる土壌で、1億5千年前に堆積した貝殻が化石となって、畑で多く発見されています。この貝殻地層がワインの味に影響を与えている=海産物に合うということなのですが、、、。

こちらはフランスといえばのエスカルゴ。カタツムリにニンニク、パセリ、バターをのせて加熱したものです。シャブリの看板料理のひとつ。この他にもパセリ入りハムや、豚のモツソーセージなど、「名物料理」と呼ばれるものには海産物はありません(笑)。
それもそのはず、シャブリから海はだいぶ遠い(ここ数万年は?)ので、海の幸が豊かな土地ではなかったから。シャブリはもちろん海産物にも合いますが、それ以上に元々は豚モツやカタツムリと飲まれていた時代の方が長いというのは、何だか興味深いですね。

朝靄に沈むシャブリ村。寒くて誰も歩いていません、、。ブルゴーニュワインの中心地であるボーヌなどと違い、その魅力に反してシャブリを訪れる人は少ないので静かに情緒を味わえます。
ワイン産地を巡る旅にはオススメです。周りに点在する小さな村も可愛いところばかりなので、ぜひレンタカーで。

「もしくは、ワシが運転手をしよう!」と言いたげなお留守番ヨーキーさんを、村で見かけました。

ワイナリー巡りも楽しみのひとつ。ワンワン運転手に案内してもらい、創業1850年の老舗ドメーヌ・ラ・ロッシュを訪ねてみましょう。

ワインに樽香をつけるセラー。元は修道院の一部で、9世紀だったか10世紀だったか、とにかく歴史が古い場所です。

セラーに眠るワイン。約100年前、、と思いきや、意外に新しい(?)94年もの。

13世紀に作られたブドウの搾り器。これくらい古いものがブルゴーニュ地方には2つあるそうですが、今でも現役(!)なのはこれだけ。一年に一度、ワイン祭りの際にソムリエなどを呼んで実演するのだそう。

ミサに使われるなど、ワインはそもそも宗教的なものでもありました。ラ・ロッシュではシャブリ地方でワイン作りを始めた修道僧たちに敬意を表して、その昔にあったサンマルタン修道院の名前を冠したワインも作っています。

修道院と言えば、こちらは当時いくつかあった修道院の中でも最大のもの。シャブリから20分ほど離れていて、歴史的建造物にも指定されているポンティニー修道院。12世紀に建造されました。

差し込む光が美しい、教会内。

シャブリで最後にご紹介しておきたいのが、こちらのレストラン「Au fil du Zinc」。
アトリエ・ジョエル・ロブションでも修行をした日本人の長浜シェフが、腕をふるってくれます。今まで小さなシャブリ村には存在し得なかった繊細な料理の数々。ミシュランの星もすぐにつくこと間違いなし。我が町にも来てほしい、、。

Au Fil du Zinc
http://au-fil-du-zinc.restaurant-chablis.fr/

昔とは流通が違うので、今はシャブリでも新鮮な魚介類が食べられます。しかも日本人シェフなので、間違いない(←太鼓判)。

ホタテのブイヨンが、まるでお吸い物のようで癒されます。さすが日本人、、、←もういいって。

イカスミのリゾットとグリル、フリットにしたイカの一品。普段フランス旅行にいらした方には、基本肉料理をすすめています。
魚料理は日本ではレベルが高すぎて、フランスで食べてもまず満足できないからです。なので、もしフランスで魚料理を食べるなら、日本人シェフのお店を探すことをお勧めいたします(←繰り返し)。

痩せた土地で厳しい農作業に耐え、神に祈り、美酒と美食で舌鼓。ワインを一言で語ることはできませんが、全体にエレガントで爽やかなシャブリは和食にもよく合います。日本酒代わりに合わせてみては如何でしょうか。

次回は冬のパリスナップをお届けする予定です。どうぞお楽しみに。

ヨーロッパ写真日和VOL.172『白ワイン銘醸地、ブルゴーニュ地方はシャブリ村から』staff

関連キーワード

関連記事