こんにちは、吉田タイスケです。『パリの屋根裏部屋』という言葉は今でも特別な響きを持っています。その場所は以前女中部屋として使われていたと同時に作家や詩人、芸術家の想像力が羽ばたく特別な空間でした。かのヴィクトル・ユーゴーも屋根裏で作品を書いていますし、ヴェルレーヌもランボーも屋根裏で暮らしていました。
プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」では、パリの屋根裏部屋が舞台になっています。天井は斜めになって低く、部屋は狭く、明かりは小さな窓から差し込むだけの「隠れた空間」。家具や洋服も最小限しかない分、最も自由になれる場所なのかもしれません、、。
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さて、今回はそんな「パリの屋根裏部屋」から。パリ中心部、マドレーヌの屋根裏部屋に暮らす22歳の学生兼モデル、アンナの暮らしをご紹介します。父親がアメリカ人、母親がフランス人でLA生まれ。両親の離婚をきっかけに母親と共にフランスに。
「学費も安いし、パリの街が気に入っているの。アメリカには戻りたくない。」
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ドアを開けてすぐ右手にキッチン、左手にベッド、中央に棚があり、その上に食卓と勉強机を兼ねた板が載っています。広さで言ったら10㎡あるかないか。元々は何もない空間だったのですが、アンナの前にここに住んでいた友人の父親が棚やテーブルを自作したそうです。板も使いやすいようにカッティングしているし、友人父すごい。機能的だし、学生の一人暮らしなら十分に思えます。
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天板の下は収納棚になっていて、下段にはゴヤールが。「今付き合っている彼のママはゴヤールファン。両方とも壊れてしまって、これでは使いようがないというのでもらったの。」
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天板左側は本棚を兼ねて。割れたグラスがそのままになっています。引っ越し祝いに友達とこの部屋で乾杯をした時に割ってしまったのですが、「引っ越し初日だし、これはきっとこの家の幸運のお守りだよ。」ということで、そのまま飾っています。青春ポジティブか!←なにそれ。
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デコレーションも兼ねて。響きが気に入っているネパールのシンギングボウル。瞑想したい時、宗教は持っていないけど何かに祈りたい時に使います。
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一枚だけ飾られた写真は、アンナがまだ小さい頃の母親とのツーショット。
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キッチンの棚も、部屋中央部の棚を手がけた友人父作です。サラダやスープ、ヘルシーなものをよく作るというアンナ。
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「いつもはマニッシュなコーディネイトが好き。」
今日のファッション。シャツとインナーはパリジェンヌの定番、最近モデルの仕事をしたRouje、パンツはAPC、靴はGarrice。
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シャツと瞳の色がシンクロしています。お気に入りの本も紹介してもらいました。こちらは葛飾北斎の絵を枕草子の挿画にしたもので、彼ママからのクリスマスプレゼント。贈り物が枕草子とか、粋だな彼ママ。友人父といい、彼ママといい、上の世代からの薫陶を受けてDIY好き、アート好きなフランス人DNAは伝わっていくんですね。
「色の組み合わせとか、インスピレーションをもらえて大好き。」
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「枕草子&葛飾北斎挿絵」の本は日本に存在していないと思うので、フランスオリジナルでしょうか。中を見せてもらったところ、なかなか綺麗な印刷。うむ、これはほしい!←でました。
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他に今何を読んでるの?という質問にはこちら。フェミニズムに関する社会学の二冊。時流を感じますね。
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ベッド脇のナイトテーブルは、祖父母の家からもらってきました。
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さて、あと2着コーディネイトをご紹介。さすがにこの部屋では場所もないので、ご近所を歩くことにしました。
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アパルトマンのエレベーター。パリの古い建築のアパルトマンでは螺旋階段をそのまま使っているので階段の中心がエレベーターになり、必然的に狭いものが多くなります。
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アンナが住んでいるアパルトマンのすぐ近くに、ルイ16世公園があります(贖罪礼拝堂)。
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フランス革命時、ルイ16世、マリー・アントワネットを始めとした王侯貴族を含め、反革命派とされた人々が最初に集団埋葬されたのがこの場所でした。王政復古後ルイ16世の弟、ルイ18世によってルイ16世広場(公園)として整備され、美しい礼拝堂が建立されます。
CHAPELLE EXPIATOIRE
http://www.chapelle-expiatoire-paris.fr/
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礼拝堂の入り口。
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革命も今は昔、穏やかな時間が流れる21世紀のルイ16世公園にて。TシャツはAgnes b、ベストはヴィンテージ、パンツはリーヴァイス501ヴィンテージ、バッグはSoeur。
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もう一着着てもらいました。コンビネゾンはH&Mグループのブランド、&Other Stories。この時はまだパリのカフェはテイクアウトのみ。コロナ禍状況のコントロール、ワクチン接種が順調にいけば5月半ばにテラス営業、6月上旬には店内営業もついに再開されます。また活気のあるパリが戻ってきますように。パリ8区、屋根裏に暮らすパリジェンヌのアパルトマンをご紹介しました。次回もどうぞお楽しみに。
コーディネイション:Tomoko YOKOSHIMA