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『ヴィヴァースが攻める、コーチ』ニューヨーク・ニューヨークVOL.100

今日は、マディソンです。 
今回も5番街のコーチ・フラグシップ店からお届けしています。

マンハッタン、ぐっと冷えてきているので、地下鉄の熱気がスチームのように通りに舞い上がってきています。
フラグ表のバスキア・アートが通りを過ぎる人たちの目を惹いて、コロナ下ではありますが、デパートはじめ今回訪れた度のショップよりも活気があるようですね。

あれっと思ったのが、一階奥に飾られたこのアポロのセーター。初めて5番街フラグを訪れた2017年の夏にも、実はこのセーター飾られていました。人類が初めて月に着陸したのは1969年7月のことでしたが、不可能と思われたその偉業に敬意を表して、ヴィヴァースは生粋のアメリカンブランドのコーチこそ、そのアポロ精神に立ち返ろうよと、セーターのデザインに取り入れたと聞きました。

イギリス人の彼だからこそ、アメリカの強いイメージを客観的にとらえることができたのかもしれませんね。
実はアポロではありませんが、この11月にはイーロン・マスクのスペースXの打ち上げが話題になっています。アポロ・デザインのセーターが、宇宙を目指すコーチという感じで逆に新しい、そんな計算も入っているかもしれません。

バスキアとのコラボなど大胆な動きだけでなく、先のアポロのデザインセーターのような、復活アイテムもフラグには何品かありました。このバッグもその一つです。
中もしっかりとコーチらしい縫製ですが、ただ今エコバッグとして人気だとアビゲールが教えてくれました。
エコバッグとしては高価かもしれませんが、何でも入る便利なバッグだと思います。

コーチのバッグは世界中で大人気で、もちろんセレブもたくさん御用達ですが、ジェニファー・ロペスはデザインでコラボもしています。

そうそう、木村拓哉さんと工藤静香さんの娘さんのKokiも日本限定で確かタビーを初デザインしていましたっけ。
工藤静香さんのインスタで、そのバッグを静さんのお母さんがほしがったとかで、お揃いでショルダーしていました。

この写真のジェニファー、これぞカジュアルバッグの見本といういで立ちです。Tシャツにジーンズでバッグは横斜めではなく、前にかけるのが心憎い!

このジェニファーのバッグのコーディネイトが2階にディスプレイされています。彼女がデザインしたバッグ自体ももちろんですが、コーディネイトも躍動感があって、冬のカジュアルですが楽しさが溢れています。

ジェニファー・ロペスは、自身の香水の宣伝やレッドカーペットでのいでたちは“これぞセクシー”で、セクシーさのど真ん中という趣なんですが、こうしたカジュアルバッグのデザインは、ストリートをジャツクするエネルギー溢れる女子像に重なって、思わずそのバックミュージックに80年代を風靡したシンディローパーの“ガールズ・ウォンナ・ハブ・ファン”が流れて来そうです。。

コラボ作品だけでなく、こうした刺繍飾りのTシャツもあるんですよ、とアビゲール。
クリエィテイブ・ディレクターのヴィヴァースは、ロンドンのウェストミンスター大学を卒業した後、最初に手掛けたのがカルバンクラインのアクセサリーだったそうです。

以来、ボッテガ、ジバンシー、ルエラ、ルイビトン、マルベリー、ロエベと多々のハイブランドに携わってきました。コーチ就任の前のロエベにいるころ、その独特なアイデアとスタイルで初コレクションが、ファッション業界に旋風を巻き起こしました。

彼はもちろんコーチの高級革ブランドとしての歴史に敬意を払っていますが、それでも伝統に乗っからず、最も新鮮でヒップホップ的な若々しいブランドという位置づけに成功しました。

しっかりした素材と職人精神を生かしながらも、アポロのような大胆なデザイン、キース・へリングやジョン・マイクル・バスキアといったニューヨークが生んだ優れたアーティストとのコラボを次々仕掛け、あっと言わせてきているんです。

ハイブランドはもちろん、どのアパレルブランドもナイキの成功に続けとスニーカーブームに乗ってきていますが、そこはヴィヴィァース、バッグのカスタムに続いて、今度はスニーカーのカスタムにも乗り出しています。

外も中も良質な素材を選んで、自分だけのスニーカーがデザインできるんです。
デザインもコラボを駆使し大胆で、とはいえ刺繍などの職人技も残し、その上ビジネス的にもカスタム化を進める。
5番街フラグでは貪欲にコーチというブランドの優れた部分を、これでもかとショーケースしている感じがしますね。

何て可愛いんでしょう。冬が楽しみになりますよね。
中国系のお客さまもたくさん来ていてちゅうもんして行きました、このブーツ。実は去年の上海でのショー移行、コーチはイット・ブランドになりつつあるようです。

去年12月にコーチ上陸15周年を記念して行われたショーでは、マンハッタンの街を現実感の無い、突飛な色合いを使って幻想的な舞台に仕立て上げたそうです。

5番街フラグ入り口に今も飾られている全身コーチの革でできたマスコット恐竜のレクシー、そのレクシーを、中国を拠点とする4組のアーティスト達がさまざまに表現して喝采を浴びたそうです。行ってみたかったですね。

このバッグの取っ手の付け根のデザイン、可愛いでしょう?がま口スタイルのバッグの白い淵デザインも。
良質な皮と精巧な職人業はもちろんですが、私たち日本人の感性のも響く、細かいところにこだわる可愛さ、この感じがコーチが欧米だけでなく、アジアでもウケる所以だと思います。

ヴィヴァースはインタビューで、JDサリンジャーの“ライ麦畑でつかまえて”を愛読書の一番に上げていました。
50年代のアメリカ、宇宙開発でソビエトに勝とうとする強いアメリカ、そんなアメリカに憧れる青年だったんでしょう。世界中で一番ニューヨークが好きという、そのアメリカ愛をコーチというブランドの中に一杯に詰めて行っている感じがします。

ただ古き良きアメリカをなぞるのではなく、ブランドは常に変革して進化していかなければならない、そんなメッセージも、この5番街フラグに来るたびに感じますね。

如何でしたか。ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『ヴィヴァースが攻める、コーチ』ニューヨーク・ニューヨークVOL.100staff

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