ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

659

『キャリーが愛した、お土産物屋さん』ニューヨーク・ニューヨークVOL.126

今日は、マディソンです。

ウェストビレッジに来ています。最近はソーホーやミートパッキング地区ばかり訪ねていましたが、コロナ前にはよくウェストビレッジにも来ていました。仕事を通じて知り合った長年の友人がこの辺りに住んでいて、彼の近所のカフェでよく打ち合わせをしたものです。そんな彼、コロナの少し前に赤ちゃんが生まれたので、“田舎で育てたい”とミシガン州に引っ越してしまいました。それで最近はあまり来ていなかったんです。

このピンクのオリーブというギフトショップにもよく立ち寄りました。オリーブというと緑、紫、薄緑が目に浮かびますが、ピンクの、とつけるだけで可愛らしい感じがしますね。

この建物には100年以上もの歴史があるんですが、ピンク・オリーブ自体は2007年にスタートしています。韓国系アメリカ人で、コーネル大学卒業生でバイヤー経験のある女性、グレース・カンが立ち上げました。ニューヨークの高級デパートの一つ、ブルーミングデールズでバイヤーを務めていた彼女、その年で一番活躍したバイヤーに贈られる“バイヤー・オヴ・ザ・イヤー”を受賞するくらい優秀だったそうです。

そんな彼女が、ウェストビレッジに住むアーティストやマンハッタンのアーティスト、アメリカ全土のアーティストの作品を、こじんまりと温かい空間で扱いたいと仲間たちとスタートしたのが、このピンクのオリーブというお店なんです。

中に入ると、何とも味わい深い、紙で出来た犬と猫が迎えてくれます。

古い建物あるあるで、天井がとても高いのでそれほど感じないんですが、全部で10畳あるのかな…というくらいの小じんまりさ!アメリカでは一世を風靡したトーク番組の“オペラウィンフリー・ショー”はじめ、数々のネットワークを代表する情報番組に登場していたので、イメージ的にはもっと広いスペースだとすっかり思い込んでいました。

ピンクのオリーブを指していつも言われているのが、“気まぐれで楽しいギフトショップ”という言葉です。カンさんたちのチームが何より大切に思っているのが、愛情あふれる場所でありたい、ユニークなアーティスト達の作品が、ここから買っていった人たちの家庭に幸せを運んでほしいという願いだそうです。

ギフト用に置いてあるパズルも、ユーモラスな猫のイラストだったり、仕事をする犬だったりと、他では見たことがないものばかりです。

赤ちゃんや幼児用の犬の本の横には、これまた味わいある犬の縫いぐるみ。

犬の前にはピンクに星のヘア・クリップで、これはこの辺りに住んでいる設定の、“セックス・イン・ザ・シティ”4人の女性の中で断トツに人気の、サラ・ジェシカが演じるキャリー・ブラッドショーが付けていましたね。どことなく懐かしい、少女らしいヘア・クリップ。キャリーのヴィンテージ好きは番組を見る楽しみの一つでしたが、ハイブランドのバッグやトップスに、さり気なくヴィンテージのジーンズをはいていたりしていました。そのファッションセンスに同調して、当時は街中の20~40代女性の誰もが真似していたりしたものです。

犬の隣にディスプレイされている“ザ・グレイト・パピー・インヴェィジョン”(大いなる子犬たちの侵略、という意味?)という本が傑作で、可愛いもの禁止の厳しい村を変えたいと一人の少年が立ち上がって、たくさんの可愛い子犬たちを村に放したことで始まる物語だそうです。可愛いものバンザイ、というのはピンク・オリーブの訴えていることでもあって、ピッタリの本ですよね。

ニューヨークらしいカードや絵などのお土産も置いています。写実的な絵ではなく、パステル画の、ほんわりと暖かいニューヨークが溢れています。

“アワー・サブウェイ・ベイビー”って日本語にすると、僕たちの地下鉄の赤ちゃん、という意味でしょうか。実はこの本、実話に基づいていて、その本紹介というのが“たくさんの赤ちゃんが両親のもとに生まれてきます。中には養子として引き取られる赤ちゃんもいます。これは、一人の赤ちゃんがニューヨークの地下鉄で家族を見つけた話なんです”と書かれていて、その紹介を見ただけで、涙ぐんでしまいそう。よかったね、赤ちゃん。家族が見つかってと。

本当の両親が生き別れた家族と再会する話ではなく、実の両親に捨てられていた赤ちゃんを男性カップルが見つけて養子に迎えたという、ニューヨークならではの温かい場面を想像させる感動的な絵本です。これ、誰か翻訳して日本でも読まれるといいですよね~。

出ました!実はピンクのオリーブのすぐそばに、キャリー・ブラッドショーの自宅と設定されているタウンハウスがあるんです。この玄関を出て買い物に向かうキャリー、運命の相手ミスター・ビッグに会いに行くキャリー、マノロ・ブラ二クやジミー・チュウのハイヒールで出てくるキャリー…。そんな風に想像を膨らませてしまう女性たちは多いようで、立ち入り禁止の札が貼られてしまっていましたが(笑。)

最近では少し落ち着いてきたのかもしれませんが、去年の12月9日にHBOでセックス・イン・ザ・シティ続編がスタートした時はこの家の前、きっと大騒ぎだったんでしょうね。日本ではまだ放映が始まっていないのかもしれませんが、続編はお色気担当だったキムが参加せず3人だけなので、盛り上がりに欠けるかもと当初は思いました。ところが始まってすぐ、ミスター・ビッグが心臓発作で亡くなってしまうという、まさかのスタートで期待を裏切ってくる流れに全米の女性たち大いに盛り上がりました。

しかもそのミスター・ビッグ、ぺロトンのエクササイズ・バイクで運動後に心臓発作を起こした設定だったんですが、その直後に今度はぺロトンのコマーシャルにしれっと登場、若い女性と一緒に“人生は短いからね”なんて言っているんです。このコマーシャルも含めて続編、巷で大いに話題になりました。



レストランの前に、コロナ対策としての外席が、テントの中にあるんですね。

雪ではなく、布で出来たかまくらみたいで、何ともユーモラスです。もちろん、中はヒーターが付けてあるとは思いますが、最近は気温ニューヨーク、零下ですよ!コロナが怖くてパラノイア的な人はここで食べるのかもしれませんが、だったらテイクアウトの方がましだと思うんですが…。

ウェストビレッジにはキャリーっぽいショップは多いです、やっぱり。

ダニエラ・シェベルは南アフリカ共和国の出身だそうです。近年、本当にマンハッタンで、南アメリカやヨーロッパ、南アフリカ共和国など海外出身デザイナーたちの活躍が目覚ましいんですが、彼女もそんな一人だったんですね。

靴といっても、彼女の場合ほとんどがブーツで、しかも全部手作り。ですから1足500~600ドル(57,000円~68,400円、1ドル114円)しますが、ただ彼女いわくブーツは季節ものではなく、オールシーズンはくものだそう。ブーツという靴の形そのものは一見男性的ですが、でも彼女は女性らしさを前面に出してデザインするので、そこにブーツという素材の醍醐味があるそうです。確かに、色彩も質感も柔らかく女性的に感じますね。キャリーというとハイヒールで、あまりブーツを履いているイメージは無いんですが、それでも似合いそうです。

こんな地下の隙間のような場所にランドリーが。下に降りる階段も、まるで非常階段のように狭いんですが、でも右横にたくさんの袋が積まれているところを見ると、流行っているようです。

この辺りはクラシカルなタウンハウスが多い住宅地だからでしょうか。

東に向かって歩いていくと、ルター派の、ルーテル教会がひっそりと建っていました。プロテスタントの一派なので、ルーテル教会は全米に多々あります。発祥はでもマルティン・ルターがドイツで始めたと言われていますね。

ウェストビレッジには石畳や並木道が多くて、歩いているとヨーロッパを感じます。セックス・イン・ザ・シティのキャリーだけではなく、演じたセラ・ジェシカ自身もウェストビレッジに長年住んでいて、他にもリブ・タイラーなどセレブが多々住んでいるのは、ミッドタウンと違ってオフィス用の建物がほとんどなく、あるのはカフェかレストランばかりで、時間がゆっくりと流れている感じがするからでしょうか。

さて、如何でしたか。

そんなウェストビレッジに数少ないレストラン以外のショップ、暖かくて懐かしくなるギフトショップを今回ご紹介してみました。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。

『キャリーが愛した、お土産物屋さん』ニューヨーク・ニューヨークVOL.126Takashi -タカシ-

関連記事