ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

684

『グッゲンハイム美術館から』ニューヨーク・ニューヨークVOL.153

写真:Alex Katz Gathering-exh_ph020-LARGE TIF by Guggenheim Museum

マディソンです。

今日はグッゲンハイム美術館に来ています。

88丁目と89丁目の間というアップタウン、そのイーストサイドにあって、有名な建築家フランク・ロイド・ライトが作ったというカタツムリのような外観が特徴の美術館です。実は彼の建築は日本にも4点くらいあるそうですが、北米以外であるのは日本だけだそうです。しかも、そのうちの一つが昔の帝国ホテルの中央玄関だそうで、今では明治村の中に移されているとのこと。日本の建築の方がどちらかというとフランク・ロイド・ライトらしく、グッゲンハイムのカタツムリの方は、そう言われないと彼の建築だとわかりにくい気がします。ちなみに彼の建築はグッゲンハイムも、それから明治村のものも、2019年世界遺産に指定されました。

名前の通り、ソロモン・R・グッゲンハイム氏によって作られた美術館なのですが、彼は富裕な鉱山企業を経営する家族に生まれ、やがてその経営者となりました。その傍ら、精力的に美術収集をした結果集まったアートを展示しようと生まれたのがこの美術館だそうです。

グッゲンハイム氏がフランク・ロイド・ライトに建築を依頼したのが1943年。ところが1959年の完成までに長い月日がかかってしまったため、グッゲンハイム氏は完成を見ることなく1949年に亡くなってしまったそうです。一方建築したライトも完成目前に亡くなってしまったと聞いています。


写真:KTZ620_X.2021.287 by Guggenheim Museum


写真:3_Ada and Vincent, 1967 by Guggenheim Museum

グッゲンハイムでは、大胆な構図でポップアートの先駆者と呼ばれた、アレックス・カッツの展示がされていました。1927年にブルックリンで生まれた彼は現在95歳で健在です。

カッツがアーティスト・デビューした60年代というのは、抽象主義が台頭していたころなのですが、彼自身は永遠を一瞬に閉じ込めることに打ち込んでいて、家族や友人をモデルにリアリスティックな表現に固執しました。リアリティにこだわった、当時では数少ないアーティストの一人だそうです。

雨の中の女性は雨に濡れているだけではなく、泣いているようにも見えます。下の絵の少年は、困っているような憂鬱そうな表情をしていますね。彼は映画やテレビ、広告に強くインスピレーションを受けたアーティストだということが、ここからも伺えますね。


写真:[2nd]Round Hill, 1977 (1) by Guggenheim Museum

湖畔でしょうか。会話に加わっている友人もいれば、読書に集中している友人も。ぼーっと景色を見ている男性もいて、思い思いの時間がうまく切り取られているようですね。


写真:20220215_KatzA_Rose Bud,1967-06 by Guggenheim Museum


写真:[2nd]KTZ2029_X.2021.445 by Guggenheim Museum

バラの花の迫力は凄いです。

下の絵の方、黄色に紅葉した木の葉が、やがて茶色に枯れて、吹きすさぶ風で落ちてくる様子が大胆で、バラもそうですが、こちらも命の強さが表現されていると思います。


写真:Katz555_4sh by Guggenheim Museum

ここに表されているのは、湖畔の夜の月の光でしょうか。水面に映って反射している光は、イラストなのですが、だからこそ写真よりも現実の様子から受ける印象に近いように思います。

カッツの作品は近年ますます美術館で紹介されるようになっているので、今では高額に吊り上がってきているそうですが、現代建築の家を飾るアートとしてはパーフェクトですよね。


写真:Alex Katz Gathering-exh_ph091-LARGE JPG by Guggenheim Museum

今回グッゲンハイムではカッツの版画が中心だったのですが、彼は絵画、彫刻、それに舞台美術でも評価を受けていて、1061年の舞台“革命戦争の兵士たち”が特に知られているそうです。彼のデッサンこそ正確なのですが、一方で構図の方はというと、先程のバラや木のように画面からはみ出してきそうなんですね。しかも色使いがとてもきれいなんです。


写真:Nick Cave Forothermore-exh_ph028-LARGE JPG by Guggenheim Museum

外から見たらカタツムリ状のグッゲンハイム、中も渦巻き状です。ですので、正しい見方としては、まず最上階に上がって、ぐるぐる降りてくるべきなのですが、初めて訪れた時には勝手がわからず下からぐるぐる上に上がりました。そうするとどうなるかというと、最上階に上った時にはかなり胸が悪くなってしまったんですね…。

さて、今度はニック・ケイブの展示です。カッツの作品のように、見たままを受け入れる形ではなく、考えさせられる作品群です。色合いこそ明るいのですが、闇が深いんです。

彼自身もインタビューに答えていますが、“私の作品は、一見して美しいものではない。私が美しいと感じるのは、闇から抜け出すパワーのようなもの。それを表現したいんだ”と。


写真:Nick Cave Forothermore-exh_ph015-LARGE JPG by Guggenheim Museum

こちらはまるで童話の中の世界のようですね。ニックが言うには、アート素材は彼のスタジオの中にはなく、これまでも、そしてこれからも常に外にあり続けるそうです。


写真:Nick Cave Forothermore-exh_ph021-LARGE JPG by Guggenheim Museum

人類が宇宙に飛び出そうと画策している一方で、未だ地上には人種差別があふれていると彼は指摘します。そのアンバランスさを人々に訴える使者でありたいというんですね。

“人は美しいものを求めるけれど、その意識の中には闇が渦巻いている。それを全く無視して、表面だけつくろうのはおかしいと私は思う。だから何とかして無意識の域から美しいものを求めていくこと、そのために今自分はこの瞬間、この地球上に存在しているのだと思う”そんな風に、今回の展示についてビデオで語っていました。


写真:Nick Cave Forothermore-exh_ph023-LARGE JPG by Guggenheim Museum

さて、如何でしたか。

本当にニューヨークには、面白い美術館がたくさんあります。その展示の多さ、中の規模からみて一番正攻法で、誰もが楽しめるのはメトロポリタンだと思いますが、近年ファッション・ハイブランド展示が多々続いているブルックリン、バスキアらストリート・アーティストに光をあててきたホイットニー、そうして今回紹介したグッゲンハイム、現代美術のMOMA、ファッションに特化したMADなどなど…本当にアートの層が厚いんですね。美術館巡りをするだけで、軽く1ヶ月以上はかかるでしょう。

何といっても美術館は、ニューヨークの街の魅力の一つです。ではまた、そんなニューヨークでお会いしましょう。

『グッゲンハイム美術館から』ニューヨーク・ニューヨークVOL.153Takashi -タカシ-

関連記事