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【靴磨きのプロが解説!】自宅で簡単にできる革靴の正しい収納・お手入れ方法|ありがちなトラブルの解決方法や裏技も

紳士靴問わず、ローファーやパンプス、ブーツなど、女性でも履く機会が多い革靴。履いているうちに汚れが気になってきたけれど、「レザー素材はお手入れが難しそう…」「プロに頼むのは敷居が高い…」と、ケアを後回しにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、靴磨き職人の冨樫輝好さんにインタビューし、革靴の正しい収納方法や自宅でできる簡単なお手入れ方法について伺ってきました。お手入れアイテムの選び方からご紹介するので初心者も安心!ぜひチェックしてチャレンジしてみてくださいね。

正しい革靴の保管方法|シワやカビが付きにくい収納方法って?

お手入れの前に、まずはすぐに見直せる保管方法からご紹介。

冠婚葬祭用など長期で仕舞っておくことも多い革靴。今回は長期保管でもシワやカビが付きにくい収納方法をお教えします。

1.保管前にブラシでホコリを落とす

保管する前にブラシで革靴についているホコリを落としましょう。やわらかい馬毛のブラシで5~10秒ほどさっとはらうだけでOKです。

2.汚れ落としで拭き取り殺菌!

専用の汚れ落としを布につけやさしく拭き取ります。これだけで殺菌効果があり、カビを防ぐことができますよ。ソールの側面「コバ」やソールの裏も忘れずに。

また、汚れ落としは靴の中まで行うようにしましょう。靴の中には靴下の繊維やホコリなどがたまっています。軽く拭いて、カビやニオイを防いでくださいね。さらにニオイが気になる方はここで消臭スプレーをしておくと◎

3.シューキーパーを入れて保管

汚れを落とすことができたら、シューキーパーを入れて保管します。「クリームでレザーの保湿する必要はないの?」と思う方もいるかと思いますが、保湿をすると湿気でカビてしまう原因にも。保管の際はクリームなしでOKです。

シューキーパーには長期保管に向くものと向かないものがあるので注意しましょう。

長期保管に向いているのは、かかとの幅がしっかりあり、靴のサイズと合っているもの。サイズがあっていないと型崩れの原因になってしまいます。シューキーパーにもサイズが書いてあるので確認しましょう。つま先にはすっぽりと入り、かかとは力を入れてぴったりとハマるぐらいのサイズ感が◎

つま先部分がスポンジタイプのものもありますが、かかと部分がしっかりしていれば、サイズが関係ないのでおすすめです。

長期保管に向かないのは、かかとが細いキーパー。フリーサイズのものが多く、緩いと型崩れしやすく、無理やり入れると突っ張ってキーパーの跡がついてしまうことがあります。短期の保管なら問題ないですが、長期の保管にはおすすめしません。

保管に適した場所は?


革靴を保管する際は、箱に入れてしまっておくのではなく、通気性の良い下駄箱などに収納するのがおすすめです。湿気によるニオイやカビを防ぐため、除湿剤を一緒に入れておくとよいですよ。

また、購入時に袋がついていたら、口を閉じずに通気性を良くした状態でしまうのがおすすめ。袋に入れると、ホコリや靴同士の色移り防止になります。ただ、ビニール袋は通気性が悪いため絶対にNGです。

さらにカビ対策をするには!

カビが心配な方は、汚れ落としの段階で革用の除菌シートやスプレーを使い、あらかじめ殺菌しておくと◎シートなら革の表面を軽く拭くだけ、スプレーなら靴に直接吹きかけて布で軽く拭き取りましょう。ですが、やはり湿気を防ぐことが一番なので、除湿剤が有効ですよ。

一度靴にカビが生えてしまったら下駄箱自体にカビ菌がいます。下駄箱の除菌や殺菌も忘れずに!

シューキーパーが入らないパンプスやブーツはどうするの?

パンプスやブーツなどシューキーパーが入らないものは、紙や新聞紙を丸めて入れるだけでもOK。紙は湿気を吸い取ってくれます。ロングブーツはキーパーや型紙を入れて、シャフトが倒れないように対策を。

靴の中に紙を入れるときのポイントはつま先の形に合わせること。革のシワが伸びるようにぐっと入れてくださいね。中に入れた紙は1~3か月を目安に取り換えるようにしましょう。

革靴の保管方法を動画で詳しくチェック!

基本の革靴お手入れ方法|プロの靴磨きが自宅でも簡単にできる!?

油分や水分が劣化して乾燥しやすい革靴は、お手入れをしないと、どうしてもシワになったり変色してしまったりしてしまいます。お気に入りの靴を長く愛用するためにもケアをすることがおすすめです。

お手入れをする頻度は、その靴を履いている頻度にもよりますが1か月に1回、難しければシーズンごとやしまう前など、3か月に1回ぐらいできると良いですよ。

まずはお手入れOKかの確認を!シューケアの注意点と向かない素材

革靴は自宅でお手入れができる素材かを確認することが必須です。

基本のお手入れが向かないものとして、見た目のツヤが全くない素材が挙げられます。例えば、スエードやヌバックなど。これらはクリームを塗ると黒くシミになってしまいます。スエード素材はお持ちの方も多いと思うので、後ほど専用のお手入れ方法もご紹介しますね。

また、エナメル素材やシルバー・ゴールドカラーの靴など、革の上から何かコーティングされている素材もお手入れには注意が必要。箔が貼られているため、リムーバーを使用すると箔が剥がれてしまう恐れがありますし、クリームが革まで入っていきません。水ぶきをするか、少しのリムーバーで汚れている箇所のみやさしく落としてください。

その他、基本のお手入れはOKですが、特にやさしく扱ってほしいのがビビットカラーやホワイトのカラーの靴。傷周辺や汚れ落としの際に色が剥がれやすいので注意してくださいね。

お手入れ前に知りたい!ケアアイテムの選び方

ブラシやクリームなどのケアアイテムで何を選べばよいのかわからず、革靴のお手入れを始められないという方も少なくないのでは?そんな方のために、靴磨きのプロ 冨樫さんから、初心者にもおすすめの「迷ったらこれ!」というアイテムを教えていただきました。

◎ブラシ
シューケアで使うブラシには馬毛と豚毛があります。特徴やおすすめの使い方はこちら。

・馬毛(画像左)
毛が細くて柔らかく、ブラシの密度が高いのが特徴。ほこりを落とすのにぴったり。

・豚毛(画像右)
毛が太くて硬く、ブラシの密度が粗いのが特徴。クリームを塗りこむのにおすすめ。

また、豚毛には黒いものと白いものがありますが、白いものなら何色のクリームを使用したブラシかが分かりやすいという以外に性能の違いはないのでどちらを選んでも◎

ブラシのサイズは自分の手の大きさに合うものが一番。慣れていない方は、手に乗るぐらいのサイズで、ブラシの毛足が長いものがおすすめです。1,000円ぐらいのもので十分ですよ。

◎クリーム
レザー用クリームには乳化性クリーム、ゲル状のデリケートクリーム、ローションタイプ、油性タイプなどの種類があります。

定番なのは乳化性クリーム。水と油が混ざったクリームで、水分と油分のどちらも補給して革を柔らかく保ちます。革靴の色に合わせてクリームの色を選んでくださいね。その中でも、初心者には「M.MOWBRAY(M.モゥブレィ)」のクリームがおすすめ。革に馴染みやすく、色も作りやすいのがポイントです。

また、特に乾燥してしまった靴には、ゲル状のデリケートクリームを塗ってから乳化性クリームを塗ると◎ゲル状のものはほとんどが水分でできており、シミになりにくい一方ツヤが出にくいという特徴があります。ツヤが欲しい方には向きませんが、シミになるのが心配なお手入れ初心者さんにもおすすめのタイプです。

ローションタイプは液状の伸ばしやすいタイプ。バッグなど広範囲のレザーに塗るのに適しています。

油性タイプは水分が入っていない、ツヤ出し用のクリームです。さらに光沢感が欲しい方にはこちらがおすすめ。

ケアアイテムを選べたら、実際のお手入れに入っていきましょう。

お手入れ手順1.ブラシでほこり落とし

お手入れをするときはシューキーパーを入れてシワが伸びた状態で!靴紐があれば、軽くまとめて靴の中に入れておくとお手入れしやすいですよ。

まずは、馬毛のブラシを使って革靴についたほこりを落としていきます。履きジワと平行にブラシを動かしましょう。ソールやアッパーの境目はしっかりめに!

お手入れ手順2.拭き取って汚れを落とす

続いて靴についた汚れを落とします。しっかり汚れを落とせて水分と油分も入る、液状の汚れ落としを使用するのがおすすめです。

布に汚れ落としを500円玉大ぐらい染み込ませ、円を描くようにくるくると、やさしく靴の汚れを拭き取りましょう。この時使用する布は、いらなくなったTシャツの端切れなどでもOK。

布が汚れたら面を変えて再度汚れ落としを付けて、クレンジングをするように、じっくりと落としていきます。履きジワは汚れがたまりやすいので念入りに。

<ポイント!>
ここでしっかり汚れを落としておくと、この後の保湿クリームが入りやすくなります。

左側が汚れ落としを行ったほう。靴の光沢感がなくなりマットな状態になりました。身近なスキンケアに例えると、汚れを落とす前はいわばファンデーションがヨレている状態。この段階は、メイク直しをする前に、一度メイクを落としてすっぴんになったところです。

お手入れ手順3.クリームで革の保湿

続いてクリームを使って革の保湿をします。つけすぎないよう、お米2粒ぐらいの大きさをブラシに取り、靴全体にくるくると塗り込んでいきます。こちらもソールの境目などは念入りに。

全体に塗り込むことができたら、豚毛のブラシを使ってクリームを刷り込みます。毛先が当たるぐらいのやさしさでブラシを動かし、革が傷つかないようにしましょう。

お手入れ手順4.余分なクリームを拭き取る

革が吸い込まなかった余分なクリームを布で拭き取ります。使用するのは汚れ落としの際に使用した布の汚れていない面でOKです。

<ポイント!>
余分なクリームが残ったままだとベタつきや、ほこりが付着して水分を持って行ってしまう原因に……!

左側がお手入れを行ったほう。ナチュラルで上品な光沢が出て、革全体がムラなくしっとりしたことが分かります。

これで基本の革靴のお手入れは完了です!ブラシやクリームさえ揃ってしまえば、工程は簡単ですよね。

もう少し光沢がほしい方へ。ワンランク上の靴磨き

ここからは、さらにレザーの光沢感がほしい方向けに、ワンランク上の靴磨きをご紹介します。先ほどまでがスキンケアだとしたら、次からはメイク。土台をしっかりと作るうえでも、基本のシューケアをしっかりと行ってからチャレンジしてみてくださいね。

【ワンランク上の靴磨き】
1.水分が入っていないワックスを指に取り、くるくると靴に塗り込む。
2.馬毛のブラシの毛先に少しだけ水を付けて靴を磨き、指で塗ったところを全体的にブラッシング。
3.布で乾拭きをして完了!

右側がBefore、左側がAfterの状態です。お手入れをすると革靴の色が濃く戻り、生き生きとしますよね。

革靴のお手入れ方法を動画で詳しくチェック!

靴磨き職人おすすめ!シューケア裏技3選

ご紹介した基本のお手入れのほかに、靴磨き職人 冨樫さんがおすすめするシューケアの裏技を3つご紹介します。

ローションタイプのクリームは保湿だけでなく汚れ落としにも使える!

クリームの選び方の部分で少し出てきたローションタイプ。広範囲の保湿に向くとご紹介しましたが、実は、保湿だけではなく汚れを落とすのにも使えるものが多いんです。

汚れ落としよりもやさしい使い心地で、保湿をしながら汚れを落としてくれます。初心者さんで、汚れ落としとクリームの両方を買いそろえるのが大変な方はこれ1つでOK!


ローションだけで拭き取ってもこんなに汚れが落ちました。スニーカーなどプリントが入っているシューズは、汚れ落としでプリントが薄くなってしまうことがありますが、ローションを使用するとその心配なしでお使いいただけます。

スニーカーのソールはメラミンスポンジで激落ち!


頑固な汚れが目立ちやすい、スニーカーのソール部分。実はメラミンスポンジが使えるんです!スポンジに液状の汚れ落としを少し多めにつけ、やさしく擦ってみてください。水だけでは落ちなかった汚れがきれいに落ちていきます。

最後は汚れ落としの水分を拭き取って完了。驚くほど真っ白に!凹凸のあるソールなど、細かい部分まで入り込んでくれるのでおすすめです。

革靴のクリームは混ぜて色を作ってもOK!

保湿クリームを選ぶ際、革靴の色にぴったりのものが見つからなければ、絵の具のように混ぜて色を作っても問題ないですよ。色を薄くしたいときはカラーレスのクリームを混ぜると◎

ビンに入っているような乳化性のクリームなら、基本的にはどのブランドのものを混ぜてもOKです。

これを読めばシューケアも怖くない!ありがちなトラブルと対処法

まだまだ「お手入れに失敗して、お気に入りの革靴を傷めてしまったら…」と不安な方はいらっしゃいますよね。ここからはお手入れでありがちなトラブルと対処法をご紹介。

トラブル1.汚れを落とすときに擦りすぎて色がはげてしまった

【冨樫さんの回答】
まずはよく観察をして汚れか傷かの判断を!

汚れ落としを付けた際、色が濃くなればそれは傷なのでこれ以上は擦らないようにしましょう。革の色が変わらなければ汚れなので、そのままやさしく擦って落としてみてくださいね。もし革や色が剥がれてしまったらプロに頼むのも安全策です!

トラブル2.食べ物をこぼして革靴が汚れてしまった

【冨樫さんの回答】
すぐにウェットティッシュなどで拭くのはNG!焦らず、家に帰ってから基本のシューケアを。

ウェットティッシュに漂白成分などが入っていた際に色落ちの原因となってしまいます。濡れ雑巾で拭いたり、基本のお手入れをしたりすれば落ちる汚れがほとんどなので、焦らなくて大丈夫ですよ。

トラブル3.雨に濡れてシミになってしまった

【冨樫さんの回答】
シミになった部分だけを戻すことはできないので、全体のケアを。

まず、シワが伸びるように靴の中に紙を詰めましょう。そのあと、靴全体を覆うようにティッシュを乗せ、霧吹きで水をかけ湿らせていきます。1日乾燥させて、乾いたティッシュを取ったら、クリームで保湿を行ってくださいね。このひと手間でシミは元通りになります。

トラブル4.スエード素材のパンプスが汚れてしまった

【冨樫さんの回答】
クリームはシミになってしまうのでNG。スエード用のミストオイルを!

前述で基本のお手入れが向かない素材とご紹介したスエード。専用のものが必要にはなりますが、下のような手順でお手入れをすることができますよ。

1.雑巾のような毛足のある布を水で湿らせ、強くゴシゴシと擦る
2.水分をしっかりと乾かしたら、専用のワイヤーブラシやゴムブラシでスエードの毛を起こす
3.毛がしっかりと起きたらミストオイルを吹きかける
4.しっかりと乾燥させたら完了

<ポイント!>

ミストオイルをかけると画像のように色が濃くなるので一瞬ドキッとしますが、しっかり乾燥をすればシミになりませんよ。

素材別のお手入れ方法を動画で詳しくチェック!

シューケアでお気に入りの革靴を長く楽しもう!

靴磨き職人の冨樫輝好さんにインタビューし、革靴の正しい収納方法や自宅でできる簡単なお手入れ方法についてご紹介しました。専用のアイテムが必要など、敷居が高いイメージがあった革靴のお手入れですが、今回アイテムの選び方やトラブル対処法などをご解説いただき、「初心者の私でもできるかも」とハードルが下がりました。

冨樫さん曰く「一生懸命な人ほど失敗しやすい。シューケアは難しくないので、肩の力を抜いて楽しんで!」とのこと。お気に入りの革靴をもっと大切に感じられるシューケア、ぜひ皆さんも楽しみながらお手入れしてみてくださいね。

教えてくれたのは靴磨き職人・冨樫輝好さん

靴修理工房「GMT FACTORY」の店長。シューケアを担当し、汚れ落としや保革、キズの修復などを各種の革で行う。個人でもイベント、出張磨き、ワークショップ等幅広く活動中。

Instagramはこちら
https://www.instagram.com/tomigaki_gmtfctr/

▼GMT FACTORYとは?

靴・服・鞄や革小物、ファッションアイテムのリペア・リメイクを行う。代々木上原に本社を構え、靴の輸入・卸売り事業を展開。靴を履く人の気持ちを考えて自社で商品の開発も行っている。

HPはこちら
http://www.gmtfactory.com/

冨樫さん監修!化粧品ブランドコラボのレザーケア乳液

革靴のお手入れをスキンケアやメイクで分かりやすく例えてくださった冨樫さんが、化粧品メーカー「Earth∞You (アースアンドユー)」と、日本最古の靴クリームメーカーの「ライオン靴クリーム」共同でレザー用ケア乳液を開発。その名も「Leather Cosmetics」です。

97%天然由来の成分でできており、捨てられてしまう予定の資源を再利用するなど、革にも環境にもやさしいエシカルなアイテム。革靴だけでなく、バッグやお財布など幅広い用途で使用可能なローションタイプ。布に染み込ませ、やさしく拭き取るだけでお手入れが完結します。香りも◎

▼Leather Cosmetics レザー用ケア乳液の購入はこちら
https://bsuzume.base.shop/

【靴磨きのプロが解説!】自宅で簡単にできる革靴の正しい収納・お手入れ方法|ありがちなトラブルの解決方法や裏技もstaff

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