ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

892

ヨーロッパ写真日和VOL.121『ドイツはミュンスターへ、10年に1度の彫刻プロジェクト。その1』

こんにちは、吉田タイスケです。シチリアのワイン旅を経て、ギリシャ、ポルトガルへと足を進めるつもりでしたが、その前に。つい先日訪ねてきたドイツの現代アート展が思いの外面白かったので、そちらをご紹介します。写真は10年に一度「公共空間と芸術作品」をテーマに彫刻プロジェクトが開催される、ドイツはミュンスターという街から。

121_002

街に到着してホテルへ向かう道すがら、いきなり遭遇したのがこちらの作品。

https://goo.gl/v2BGTB

うーむ、、気落ち悪いよ←オイ。自分を含めて三人その場にいましたが、一人は「血管のようだ」、もう一人は「ホワイトチョコレートに見える」と。自分が最初に連想したのは竜のような空想上の生き物が切断されている、、というものでした。いずれにしろ最初に見た作品がこれでは、先が思いやられます←え?

121_003

気を取り直して、腹ごしらえに。ホテルの人に「ローカルなソーセージが食べたい」とリクエストして教えてもらったのがこちら。

ALTES GASTHAUS LEVE
https://goo.gl/TNyxkr

ミュンスターには検索には出てこない雰囲気の良いお店がいくつもありましたが、伝統的なドイツ料理を食べるならここは正解でした。

121_004

ピルスナービールに、

121_005

お望みのソーセージ。旅に出たら、その土地のもの(ドイツならドイツ料理)しか基本的に食べません。郷に入れば郷に従え。

121_006

食後は本格的に(?)アートに触れる散歩に参りましょう。まずはこちら。素敵な赤白ストライプのゲートは、パリに来たことのある人ならお馴染み。フランス人アーティスト、ダニエル・ビュランが1987年に設置したもの。8.7cm幅のストライプは元々フランスで一般的に使われる窓の日よけのキャンバス地に由来します。「ビュランはこのストライプをサイトスペシフィックな作品において状況とアートとを視覚的に関連づけ、空間そのものではなく空間における言語の形態として用いられている」云々、、(wikiより)。つまり意味は自分で考えろってことですが、街に馴染んでいていいですね。このカフェのテーブルも、ストライプの下を歩く人も、作品になくてはならないものに思えます。

121_007

ミュンスターの美しい街並み。人口30万人に満たない小さな地方都市がなぜ10年に一度現代アートの展示をするに至ったのか、その経緯もまた面白いので、ご興味のある方はリンク(日本語)を一読してくださいまし。

https://goo.gl/pkTY1y

121_008

この傘もアート、、に見えてきますが、普通のカフェでした。

121_009

LWLという美術館前に置かれたこのトラックとコンテナ、これは作品です。コンテナには「FRAGILE(壊れもの)」と一言書かれていて、中を覗くと何も入っていません。いったいどういうことでしょうか、、うーん、、。ちょっとだけ覗けるようにコンテナの扉がずれているのがポイントで、解説には存在と非存在、内包と除外を象徴しているとか何とか、、。

https://goo.gl/EF9cC8

121_010

このトラックから向かい側を見上げれば、一瞬ただの広告として思えないこの彫刻(?)があるのですが、こちらも作品なんです。ちょっと作者名が手元になくて申し訳ないんですが、世界のあちこちでこの「広告看板にしか見えない作品」をビルの上などに設置して、「芸術とは何か」を問いかけているんですね。こうして見てくると、「芸術」とか「作品」と呼ばれるものに対する批判、批評的な作品が多かったかも知れません。

121_011

「この銀色のゴミ箱に見えるオブジェは、世界の裏側までその空間が広がっているらしいわよ」「いや、未来の冷蔵庫がテーマらしいぞ」と画面右のお二人が話しているわけではなく、ただのゴミ箱でした、はい。

121_012

さて、次の作品を探しに大学キャンパスを横切って、川沿いを歩きます。おおまかな地図を片手に「このあたりに作品があるはず」と検討をつけて歩くのは、さながら宝探しのオリエンテーリングをしているようで楽しく、また川と緑に囲まれて、穏やかな時間が流れているこのミュンスターという街が、何といっても和むんです。

121_013

むむ、、建物の横にフシギ階段、、異次元への入り口か←作品ではなかった。

121_014

小川に流れる水色の風船が、目に鮮やかに。

121_016

さんざん迷って、小道の横にありましたよ、、、。一本のコンクリート。これは、、なに??

121_015

イタリアはトリノで活動するアーティスト、GIOVANNI ANSELMOの作品。

「VERKURZTER HIMMEL」=「短縮された、天国」。
https://goo.gl/vfwmAf

解説(web)にも書いてありますが、「物理的な世界を言葉の隠喩で、“一瞬にして全てを”詩的なものに変換してしまう」ミニマルな作品が、実は好きです。ほとんど人通りのない、川沿いの小道にぽつんと置いてあるところや、これを見た時には知りませんでしたが、神学部の隣に設置されているところも心ニクイ。「表現の限界に挑戦した」ともありますが、ほんとこんなの(←オイ)一生に一回許されるかどうかだろと思いつつ、想像力で眺める世界が変わる感覚は楽しいです。ただのコンクリートの柱か、世界の変換機か。地図を見ながら宝物を探す旅は、次回も続きます。次回はビジュアル的にもっとわかりやすい作品をご紹介しますので、どうぞお楽しみに(今回に懲りず、、)。

ヨーロッパ写真日和VOL.121『ドイツはミュンスターへ、10年に1度の彫刻プロジェクト。その1』axesedit

関連キーワード

関連記事