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ニューヨーク・ニューヨークVOL.89『今年150周年を迎えたメット』

こんにちは、マディソンです。 
ショップもソーシャルディスタンスで再開しましたが、マンハッタンはかなりすいています。元々夏になると、富裕層はイーストハンプトンなどの避暑地に6月くらいから行ってしまうので、6月から8月は、観光客で一杯になるのが通例でした。ただ世界中のコロナ・パンデミックで渡航が禁止か限定になっているので、観光客が全くいません。加えてスーツ姿のビジネスマンも全く見られない状況です。これはコロナ下でのリモートワークの影響だと思います。
写真はメトロポリタン美術館(通称:メット)ですが、こちらは夏一杯まだ閉まっていて9月から開くと聞きました。

01a. DinnerDress,Mrs.Arnold,ca.1895(写真:メトロポリタン美術館)

今年はメット、150周年の記念行事が本当は春から目白押しのはずでした。
メトロポリタン美術館は1870年の4月13日に建造したので、2020年の今年は150周年にあたります。ただセントラルパークに面した現在の建物の方がオープンしたのは、その2年後だそうです。実は150周年を記念して、今年の3月30日から8月2日にかけて、メットの歴史をたどる展示が開かれる予定でしたが、残念ながら延期になってしまいました。例年だと5月の第一月曜日に行われる、世界で一番排他的で有名なファッションイベントの“メットガラ”も、来年に延びると発表されています。

01b. Ensemble,CommedesGarcons,FallWinter2004(写真:メトロポリタン美術館)

メットガラというのは、メトロポリタン美術館の中のコスチューム・インスティチュートの運営資金を調達するための、チャリティーイベントのことです。運営協会が毎年発表する展示のオープニングイベントでもあり、1995年からは“ヴォーグ”誌編集長のアナ・ウィンターが主催者に就任しています。
イベントの前夜にならないと発表されないゲストのリストには、その年の各界のスターたちが名前を連ねています。このレッドカーペットにどんな装いで現れるのか、世界中が興味津々で見守るイベントなんです。
招待されるゲスト達は無料ですが、されていなくても有料で参加することはできます。チケット1枚3万ドル(318万円、1㌦106円)!テーブルを抑えるなら275,000㌦(2,915万円)!参加者は650人くらいに抑えられているそうですが、一晩で何十億円もの収益が上がるはずですよね…。

02a. Dress,CristobalBalenciaga,FallWinter1958(写真:メトロポリタン美術館)

2020年の、今年のテーマは“ファッションと持続時間”でした。展示紹介の動画がユーチューブに上がっているんですが、黒と白のコレクションで、時計の音が過去から未来へとタイムマシーンで移動するかのような錯覚を起こさせる効果があります。過去と現在は未来の中に存在する、とヴァージニア・ウルフがサイレント・ナレーターとして登場するんです。
白黒で現れる画面の中の2つのコレクションが、過去のオリジナルの形を基に、モチーフや素材、縫製技術や装飾を通じて同じファッションの進化系であることが実感できます。

メット展示紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=wVHyyjvBvaI&feature=youtu.be

02b. Dress,NicolasGhesquiereforLV,SpringSummer2018(写真:メトロポリタン美術館)

今回の開催のスポンサー、ルイ・ヴィトンからのコレクションで、デザイナーはフランス人のニコラ・ジェスキエール。2013年にマーク・ジェイコブズの後任として、ヴィトンのウイメンズ・アーティステイック・ディレクターに就任しています。以来彼がヴィトンの女性像を創造してきたわけなんですが、この黒のドレス、エレガントだけではなく、力強さも表現されていますね。
メンズ・アーティステイック・ディレクターには、2019年の春夏物から、オフ・ホワイトのヴァージル・アブローが就任して、“オズの魔法使い”コレクションなどポップな風をブランドに持ち込みました。
女性像はポップというよりは、パリの街角に現れるシャープだけれどキュートな女性、そんな女性にピッタリの装いのようです。

3a. Dress,IrisVanHerpen,FallWinter2012(写真:メトロポリタン美術館)

オランダのファッション・デザイナー、イリス・ヴァン・へルペンの2012年から2013年秋冬物コレクションです。
メット内にある、アナ・ウィンター・コスチュームセンターのキュレイターである、ハロルド・コーダの要請でデザイン、出品したドレスだということですが、かなり奇抜ですね。ただフォルムは先の二コラのドレスと似ています。ヘルペンというと思い浮かぶのが、3Dプリンターの出がけのころ、これを駆使したドレスを発表して世間をあっと言わせました。レディー・ガガともコラボしましたが、最新テクノロジーを使ったそのドレスはファッションではなく、身にまとう芸術だととらえていると、インタビュー記事で読んだ覚えがあります。このドレスも確かに、アバンギャルドな表現ですよね。漫画コミックの中に出て来そうな…。

3b. BallGown,CharlesJames,1951(写真:メトロポリタン美術館)

こちらは通常ブルックリン美術館に展示されている、アメリカ人デザイナーのチャールズ・ジェイムズの舞踏会用ドレス。身体にフィットしながら、腰から広がるシルエットは、長さこそ違いますが、先の黒の2品を彷彿させます。資料によると、1900年代初めにイギリスで生まれてアメリカに渡ったジェイムズの、このコレクションがブルックリン美術館に寄贈されたのが1951年だったそうです。40年代、50年代、アメリカの舞踏会シーンで最も人気だったのが彼のドレスで、コスメ業界の女王のエリザベス・アーデンはじめ、多くのセレブ女性が彼のドレスを好んだと言われています。きっとイット・ドレスだったんでしょうね。

さて、メット前から5番街を下がってきたんですが、今日のマンハッタンとても暑く、何と気温38度もあります。イタリアン・アイス“アモリノ”の前を偶然通ったので、試してみることにしました。これまで何度か通った時には行列ができていたので試せませんでしたが、今日はコロナで誰もいないんです!こんな機会は二度とないかもしれない。

アモリノが人気なのは、このインスタ映えするバラ状ジェラートのためです。
クルミ味に少しイチジク風味が加わっています。普通アイスクリームはボール状にいっきにすくいますが、平たいスプーンのような道具で花びらづつスクープしてバラ状にしてくれました。味もとっても美味しいですよ。

ジョージ・フロイドさんの痛ましい事件の後、ブラックライブズ・マター運動が全米で起きました。その名残りで、ただ今マンハッタンのショーウィンドーには、ペイント・アートが目立ちます。ハリケーンを避けるように木を打ち付けてガラスをガードするだけでは殺伐としますが、こうしてカラフルに塗って、LOVE・NYCというメッセージを持たせると、通りを横切る人々の気持ちも和みます。
グッドアイデアですよね。

さて、如何でしたか。
暑いので、今日はひときわ噴水の水が涼し気に感じます。美術館は9月から再開予定になっていますが、ブロードウェイなどは年内一杯閉鎖されると発表がありました。まだまだ通常通りではないものの、少しづつ街の活気が戻ってきているのが嬉しいです。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。みなさんもコロナ、どうぞお気をつけて。

ニューヨーク・ニューヨークVOL.89『今年150周年を迎えたメット』staff

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