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『NYマンハッタンで大流行のジュエリーブランドとは?』ニューヨーク・ニューヨークVOL.173

マディソンです。

今日は、只今SNSで大いにバズっているジュエリーショップのフラグ2店をご紹介したいと思います。

ともにソーホー界隈にあります。後に続けというわけなのかしれませんが、この辺り、新進のインディーズ・ジュエリー・ショップが次々台頭してきている様子です。

中に入ると、ジュエリーだけでなく、私たちが大好きな小物も溢れていて、つい時間が経つのを忘れそうです。キャットバードというネーミング、その一筆書きのようなデザインもしゃれているんですが、この小物たち、どれもブルックリン在住のデザイナーたちの手によるものだそうです。

ロニー・ヴァルディが最初にキャットバードをオープンしたのはブルックリンで、2004年34歳の時でした。“誰のためにも働きたくない、自分自身がボスになる”と全財産の16,000ドル(232万円、1ドル145円)をはたいたそうです。ところが、ほんの2年後の2006年にはブルックリンのネイビーヤードに30名ものジュエリー・デザイナーを抱えて、レイ・バトニック・プレスナーをクリエィティブ・ディレクターに迎えることができました。

人気が爆発したきっかけはデリケートな指輪で、これが重ねてたくさんつけられるんです。14金やシルバーのエレガントな指輪たちを重ねることが、マンハッタンのファッショニスタたちの間で大流行しました。ヘンリー王子の妻、メーガン・マークルはじめエマ・ストーンやオリヴィア・ワイルドらが身につけているインスタグラムの写真が多々流出しています。

キャットバードのジュエリーは一言で表現すると、お出かけの時につける改まったものではなく、毎日いつでも身につけるジュエリーです。

一番人気の重ねリングはスティービーもここで身につけていますが、何といってもキャットバードがさらに大きく認知されるきっかけとなったのが“パーマネント・ジュエリー”という新たな分野を開拓したことにあるでしょう。14金のブレスレットは購入後、ショップ内で手首に溶接されて、切らない限り外れないんです。

“I just got Zapped” -溶接されたばかり、というステッカーがレジのところに置いてあって、自由に持って帰れることになっています。友達に見せるときに、ザップしてきたのと手首を見せるところまでのプロセスが大流行している、というところが凄いんですね。

外せないという、一見ハンディキャップのような状況を、特別感あるものにすり替えるマーケティング力が凄いんですが、キャットバードが成功しているのは、オーナーのロニーやクリエィティブ・ディレクターのレイ・パトリックが常にショップ現場に出ているからだそうです。ショップのお客が誰で、どんな反応をしめすのか、細部までリサーチしているからだと。

生クリームたっぷりの様子のチェリー・ケーキは実は家庭用キャンドル、タバコは鉛筆なんです。ロシア産の高級キャビアを模した缶にはいっているのが、何とチョコレートという、ブルックリン・ローカル・デザイナーたちのセンスがなんとも憎らしいくらいですよね。

ニューヨークのファッショニスタの間で今、重ねリングを身にまとうのと同じか、それ以上に流行っているのが家庭用キャンドルなんですが、これについてもチェリー・ケーキだけでなく、棚一列にさまざまな香りが並んでいました。

チェリー・ケーキの香りは見た目そのままなのかもしれませんが、家庭用キャンドルにはそれぞれ香りにこだわりがあり、我が家でもお気に入りがあります。それでも、このタロットカードという名前のキャンドルはかなりミステリアスなので、買って試してみました。イチジクの香りを基調に、他のスパイスが入って、しかも価格が35ドル(5,075円)と安価なのに、きちんと安っぽくない香りです。こんなところにも、人気の秘訣を垣間見たように思いました。

代わって2件目、やはりソーホーのジュエリー街にあるリトル・ワーズ・プロジェクトのショップにも行ってきました。直訳すると“ちいさな言葉のプロジェクト”という感じでしょうか。“ほんのちょっとの親切な言葉が、世界を変えるよ”と訴えているブランドで、只今SNS急上昇中なんです。

中に入ると、こんな感じ。ファウンダーでCEOのエイドリアナ・キャリッグは大学時代に、女子学生の社交クラブであるソロリティに所属していて、その時に、言葉の意味を込めたブレスレットを手作りして配って、友人たちの気持ちを明るくすることに幸せを感じたそうです。卒業した2013年に彼女は就職するかわりに正式に会社を立ち上げて、それを事業にする決心をしました。 

実はこのブレスレットの誕生秘話には、彼女の子供の頃にあった、イジメられた経験がありました。常に自分に対して、“自分は何も欠けていない、自分は十分なんだ”と常に言い聞かせないと、心が崩れそうになることが何度もあったそうです。ソロリティという、社交の中心にいる煌びやかな女子学生たちですら、卒業するそのときまで彼女のブレスレットを身につけているのを間近で見て、メッセージを必要としているのが自分だけではないと気づいたと、フォーブス誌のインタビューに答えていました。

自分だけでなく、友達にも“貴方は何も欠けていない、そのままで十分”というイメージを込めたブレスレットをプレゼントする、そんな小さな言葉の親切や優しさが世界を変えるという信念がそこで生まれたそうです。そして彼女は、それを一生をかけた事業にしたいのだと決めました。

ブレスレットにはさまざまなことばが表示されています。例えば、“深呼吸して”“強く”“永遠”“信じる”などなど。ポジティブで自分自身を勇気づける言葉の数々。キャットバードの指輪の重ね着に対して、こちらはブレスレットを重ねてつける感じです。                                        

ウエディング用に、“新婦”“ブライズメイド”など、結婚式で新婦の横に並ぶ女性たち用のブレスレットも用意されてありました。

女性たちを鼓舞する応援歌的な曲が大人気で、今ではソーシャル・アイコンで社会現象でもあるテイラー・スウィフトがコンサートで身につけいてるところもニュースになっていました。彼女のような、只今のアメリカの美容やファッション・シーンを牽引して、世界を動かしている感すらある大スターでも、自身を鼓舞する言葉が要るんですね。それを隠さないのがテイラーの人気の秘訣でもあるんですが、一気にこれでリトル・ワーズ・プロジェクト人気も爆発したという次第です。

実はこうしたブレスレット自体は、みな子供の頃ビーズ・セットで作った経験が大なり小なりあると思います。よく作ったのは自分の名前を入れたものでしょうか。ですので、巷で大流行と聞いても、最初はピンときませんでした。子供のおもちゃ的な見栄えなので。

ところが、この写真の男性用など、今ではマッチョなフットボール選手やバスケットボール選手たちまで身につけているというのです。アメリカではフットボールとバスケットボールが2代ポピュラーなスポーツで、その選手たちというのは社会的大成功者だというのに、彼らがこんな女性的なメッセージを身につけいるというのは意外だと、これまたニュースになっていました。

多々の報道で人気が爆上がりして、今ではこのリトル・ワーズ・プロジェクトは年商20ミリオンダラー(29億円)のビジネスに成長しているようです。しかもソーホー・フラグに続いて、アップタウンの、富裕層の住宅エリアにも2号店進出が決まり、その新店舗内で、女優スカーレット・ヨハンソンが自身のスキンケア製品のポップアップを行う予定だと聞きました。

パッケージも可愛いですね。

見た目は簡単に自分でも作れそうなので、模倣品がどうやら出回っているのか、パッケージには言葉のブレスレットのオリジナルと表示されています。

めちゃくちゃナイスでいてね!という看板が、雨の中でも、目にする人々の心を少し暖かくしてくれています。

さて、如何でしたか。

高価なジュエリーを、特別な機会に身につけるということ、それ自体はとても素晴らしく、胸躍る経験だと思います。

その他に、それ以外の毎日を、如何にワクワクしながら、ポジティブに生きていくかと考えた時、今回紹介した2つのブランドが生きてくる気がするんです。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『NYマンハッタンで大流行のジュエリーブランドとは?』ニューヨーク・ニューヨークVOL.173staff

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