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ニューヨーク・ニューヨークVOL.34『VALENTINO(ヴァレンティノ)的世界』

ニューヨークから、マディソンです。
ヴァレンティノ・レッド、という言葉をご存知ですか。
写真にもありますが、赤いドレスの印象があまりに鮮烈なので、ヴァレンティノというとつい赤いドレスを皆、思い浮かべてしまうんです。ブランドが立ち並ぶ5番街で、最も贅沢なショップといわれているヴァレンティノをご紹介しましょう。



写真のケントによると、ヴァレンティノというと定番がこのスタッズが飾られた靴だそうです。
最近ではバッグ、ベルト、バッグパックなど他ブランドでもこのスタッズをあちこちで眼にするようになりましたが、ヴァレンティノがスタッズを使うのは、実はローマ建築に由来していて、ローマのドアの外飾りにスタッズ・デザインが多く組み込まれていたからだそうなんです。

こんな風にバッグにも使われていますが、元々はドアの飾り。ですから奇抜さをてらったわけではもちろんなく、イタリアの女性たちにとっては、かなり見慣れたデザインだったということなんですね。

ヴァレンティノの赤。それに今年流行の透けたプラスチックも取り入れています。ボウタイは取り外しができて、こんな風にハイヒールの横をかざることもできるんです。



人気のオープンスニーカーやバッグに埋め込まれているのは、スワロフスキーのクリスタルで、お値段は10万円前後ともちろんお高いんですが、一つ一つ手作業で埋め込んでいく、その膨大な時間と手間を考えると、さもありなん、という気持ちがしてくるんですね。

5番街に面したこのビル内のショップ部分は3階あり、1階に女性用の靴やバッグ、2階に女性用ドレス、3階が男性用ブテイックになっています。もちろんエレベーターでも行けますが、階段を使いました。
これはイタリア製の大理石をいったん砕いて、さらにパッチワークのようにつなぎ合わせています。イタリアのプールをイメージして、世界的に著名な建築家、ディービッド・チッパーフィールドがデザインしました。確かに、手すりの感じがプールを思わせますね。ちなみに、日本の表参道のショップもディービッド・チッパーフィールドがデザインしたと聞いています。
扉の写真で、ショップの表がガラスになっているのがわかりますが、これは1階から3階までの長さの、マンハッタンで一番高さのあるガラスを、やはりイタリアから運んだそうです。

2014年に完成したこのショップは、贅を尽くされています。言われないとわかりませんでしたが、床の大理石も、それからこのケースも、工事に携わる職人まで、すべてイタリアからだそうです。
ケースの中に電気がつくんですが、コードがどこにも見えません。ヴァレンティノのドレスは、細部までの尋常ではないこだわりで、美術館に飾られてもおかしくないレベルの職人業だとファッション業界では言われていますが、ドレスだけではない、ショップ自体にも細部までのこだわりが強く感じられます。



2階に上がって、ドレス用のスペース奥にはVIPルームがあります。これまたヴァレンティノの定番である、蝶があしらわた黒いドレスがみえますね。奥がVIP専用のフィッティング・ルーム。
この5番街フラグシップ店を訪れる人たちのうち70%は海外からと聞いています。特にロイアル・ファミリーや中東の富豪が一度に何千万円近いドレスやバッグを購入していくことも珍しくない、まるで夢の世界のようですね。

今年流行りのプラスチックで透けているタイプのジャケットもありました。1階の靴もそうでしたが、ファッション業界の大御所でありながら、かなりしっかりとトレンドもとりいれていますね。

2008年に創業者であるヴァレンティノ・ガラバーニは勇退してしまいましたが、伝統と流行の融合は、その後を継いだクリエイティブ・ディレクターであるピエール・パオロ・ピッチョーリのテイストといえるでしょう。

これわかりますか。軽い円盤状のプラスチックが、まるで人魚のしっぽのように、幾重にも重ねて縫い付けられています。こうした細部へのこだわりが、ロイアルファミリーやジャクリーン・オナシスのようなVIP達の支持を得てきたのだろうと思います。

さて、如何でしたか。
ヴァレンティノは5番街のブランドショップの中でも敷居が高い方ですが、ドレスやバッグはもちろん、内装自体にも美術館のようなこだわりがあって、特にドレスは一着一着が職人技にうっとりさせられます。あのVIPルームで試着してみたいものですね。
例えばオードリーヘップバーンの頃にはかな敷居が高かったティファニーなど、オープンハートやライフスタイル製品で身近なブランドになってきていますが、ヴァレンティノはいまだ1ランク上のブランドなんだとつくづく感じ要りました。ヨーロッパの伝統、豪華でしたよ。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

ニューヨーク・ニューヨークVOL.34『VALENTINO(ヴァレンティノ)的世界』staff

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