ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

408

『メークアップ美術館って…?』ニューヨーク・ニューヨークVOL.84

今日は、マディソンです。ニューヨーク州政府からのマンハッタンの外出禁止要請はまだ継続中ですが、エキサイティングなニュースが入ってきました。

通りのこのサイン、MMというのはメークアップ・ミュージアムの略で、メークアップに特化した美術館が5月1日から10月31日までの6ヶ月間、マンハッタンのミートパッキング地区に出現します。その後は世界中に移動するというのですから、果たして日本にも来るかもしれませんね。


(写真:メークアップ美術館)

美術館の入り口はこんな感じです。6ヶ月間で閉じるならポップアップでは?、という声が聞こえてきそうなんですが、創業者たちによると、およそ1万年もの間続いてきているメークアップの歴史が一目でわかる美術館を最終的には決まった場所で運営していきたいものの、まずは6ヶ月間ショーケース的に開催してみてスポンサーを募る方針だとのことです。

まずはコスメの歴史が1万年もあるということが驚きですね。それから入場料ですが、これは一週間のうちの日によって違うそうで25㌦から40㌦の間だそうです。


(写真:メークアップ美術館)

正面にポスターが貼ってありますが、このピンク・ジャングルという言葉がメークアップ美術館デビューの、今回半年間のテーマになります。ピンク・ジャングルという言葉自体は、実は1958年にアメリカのタイム誌の表紙を飾りました。

50年代のデパート全盛期の頃、アメリカ女性はメークアップ製品を使うことで銀幕のスターに似せることに憧れ、そうした需要を背景にコスメ・ブランドが大きく成長を遂げました。コスメ製造企業が市場占有をかけてマーケティングを追求する様を、ピンク・ジャングルとタイム誌が命名して特集記事を組んだということです。

このタイトルがあまりに鮮烈だったからでしょうか。1968年には、今度は化粧品広告キャンペーンを舞台にしたスリラー映画のタイトルにも使われました。ですから、ピンク・ジャングルという言葉、今回のメークアップ・ミュージーアムで3度目の登場となるようですね。


(写真:メークアップ美術館)

1950年代というのは、コスメ業界史上突出した時期で、ハリウッドのグラマーを日常に取り入れましょうというスローガンのもと、ヘレナ・ルビンシュタイン、エリザベス・アーデン、マックス・ファクター、チャールズ・レヴソン、エルノ・ラスズロ―、サリー・ハンセン、ウエストモアーズ等といったそう錚々たるブランドが次々登場しました。


(写真:メークアップ美術館)

今回の開催のスポンサーは、エルノ・ラスズロ―という、当時グレタ・ガルボやマリリン・モンローに愛されたスキンケア・ブランドが努めています。皮膚科医によるドクター・コスメのパイオニアだったエルノ・ラズスローは、あのオードリー・ヘップバーンも愛用者だったと聞きました。

モンローが生きていれば今年92歳だったそうで、悲劇的に亡くなってしまったのはLAの自宅でしたが、生前彼女と親しかったラズスロー社の人たちによると、モンローはニューヨークを何より愛していたそうです。年を取って引退した後はブルックリンに住みたいと常々言っていたそうなんですよ。

メークアップ美術館では当時流行ったキャッツ・アイ的メークアップ手法や、大胆でセクシーな真っ赤な口紅、マリリンモンローの柔らかい黒と茶のペンシルライナーの入れ方や、目じりの小さな赤のダットなどが詳しく解説されています。


(写真:メークアップ美術館)

ギフトショップのセレクションも話題になっていて、高級デパート“ノーズダーム”がコラボしました。アマゾン・プライム大人気のドラマで、女性コメディエンヌの奮闘を描いた“素晴らしいメイゼル夫人”の中で、ヒロインは高級デパートの化粧品売り場で働いています。

デパートを訪れる女性たちに、この口紅が貴女の目のブルーを引き立てますよとか、このアイシャドウが貴女の瞳を魅力的に輝かせますよなどといって販売している姿は、50年代のデパートの、活気あふれるコスメ売り場を思い起こさせてくれるんです。

ドラマの初めの頃、コメディは彼女の夫が目指していて、サポートに徹している彼女は、けなげにも夫が寝入った後にメークアップを落とします。朝は夫が起きる前にバスルームで素早くメークしていて、決して素顔を見せないんですよ。女性がミステリアスに美しい存在であることを要求された時代だったようです。

ドラマでは、それほど尽くした夫に浮気をされ離婚してしまった彼女は、コメディエンㇴとコスメ売り場の販売レディの2足のわらじで自立の道を進もうとし、元夫よりもコメディで活躍していくんですよ。


(写真:メークアップ美術館)

アメリカは今プラスチック廃止が盛んなので、トートバッグは何処でも重宝しますが、もちろんここでも販売されていて50㌦。こちらオンラインサイトからも購入できます。


(写真:メークアップ美術館)

メークアップ美術館ファウンダーの一人で、ディレクターのドーリン・ブロックは、ポシリーといって美容業界最大のビッグデータ企業のCEOでもあります。

彼女はフォーブス誌で“30代未満のトップ30人CEO”として2015年、2016年の両年表彰されており、その活躍ぶりはフォーブス誌だけでなく、ウォール・ストリート・ジョーナル紙やニューヨーク・タイムズ紙でも紹介されました。見た目はチャーミングですが、ビックデータをビジネスにするなんて、素晴らしく頭の切れるスーパーウーマンのようですね。


(写真:メークアップ美術館)

創業者の2人目は、美容製品マーケティング企業社長のケイトリン・コリンズ。

ロレアル社からキャリアスタートした彼女は、オンラインで美容製品のコンテンツを12年間も担当したベテランだそうです。メークアップ・ドットコムの編集ディレクターを務めたり、ウォールストリート紙で活躍した後に、現在のマーケティング会社コラコを立ち上げました。


(写真:メークアップ美術館)

シャネルのセレブ・メークアップ・アーティストとして、エマ・ストーンやジェニファー・ローレンス、ㇾネ・ズゥエルビガーら著名ハリウッド女優に信頼され、ナーズ化粧品には2017年、北米一のレッドカーペットでのメークを代表するアーティストと称されたレイチェル・ゴールドウィン。彼女が3人目の創業者です。

ビッグデータを駆使した若きIT起業家、コンテンツや編集のベテラン、それにセレブ・メークアップアーティストと、それぞれに異なった才能を持った3人が、コスメへの愛情からタッグを組んで立ち上げたのがメークアップ美術館だということです。まるでチャーリーズ・エンジェルみたいですね。コスメに対しては三人三様の思いがあると思いますが、1950年代がアメリカのメークアップ業界で大きな節目だったという点では一致したようです。




(写真:メークアップ美術館)

上の方の絵がメークアップ美術館のアイコンなんですが、下の方はマンハッタンのスカイラインがイラストされた特別なアイコンになります。

さて、如何でしたか。5月のメークアップ美術館オープンまでには、現在ピークといわれているコロナ・ウイルス状況が少しは改善してくれていると良いんですが…。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。みなさんも、どうぞお気をつけて。

『メークアップ美術館って…?』ニューヨーク・ニューヨークVOL.84Takashi -タカシ-

関連記事