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AXESとブランドと – AXESの真髄・バイヤーとの特別対談 –

ファッションに、後ろ向きになるわけじゃない

AXES BUYER啓太 -keita-

新野: 早速ですが、ズバリ、2015年春夏の傾向やファッション業界の動向はどんな印象を受けますか?

啓太: アメリカ系のブランドが人気傾向です。価格帯が控えめなブランドが好調なんじゃないでしょうか。

新野: ラグジュアリーブランドよりも、手が届きやすいブランド、という事でしょうか。

啓太: そうですね。ラグジュアリーなロエベとかサンローランとかも、もちろんモノは凄く良いと思います。でもアメリカ系のブランドや、価格帯がラグジュアリーブランドと比べて控えめなもの…、例えばマイケルコース・ケイトスペードなどがトレンドなんじゃないでしょうか。
でも価格帯が控えめだからと言って、ファッションに後ろ向きになっているわけではないと感じています。皆オシャレになっていますし、可能な範囲で楽しめる価格帯の物の方がこちらとしても提案しやすいです。

それが僕のはじめてのフルラとの出会いだったんです

新野:似たような価格帯では最近うちのお店でフルラが人気ですよね。買いやすい価格帯ですし、デザインも可愛らしい感じで。

啓太:フルラは人気が出てきましたよね。実はフルラは昔からあるブランドで、どちらかというと年齢層が高めのブランドだったんです。例えるならヘビ柄とか、そういった感じのイメージでしたね。それが僕のはじめてのフルラとの出会いでした。フルラが変わったのはアイコンバッグの「キャンディバッグ」を出したあたりからでしょうか。ちょっとずつデザインやMDを変えていったんです。少し年齢層を広げたMDにしてきてるんじゃないかなと思います。

啓太:そして取り組み方も変わったんです。かつては百貨店のバッグ売り場などに売り場を持っていました。ではどういった人達に人気だったのかというと、今よりももう一段階上の世代をターゲットにしていたんです。

新野:そんな過去があったんですね。

啓太:そして後にキャンディバッグを出した時、彼らが最初に取った行動というのが某大手セレクトショップに売り場をとる、という行動だったんです。キャンディが良かったかどうかは別として、客層をそっちのユーザーに照準をあわせてきた、という事がフルラの中の変化でしょうか。

新野:百貨店のバッグ売り場からセレクトショップへ…。大きな変化ですね。

啓太:どっちかというと今セレクトショップで買い物をする人が増えていますよね。そしてその層が一番お金を使うというか、価格帯もこなれていてセンスも悪くないというか…。最上級のものではないけど、良いものをチョイスして売っていると感じますし、その辺にお金使う人がオシャレとかにうるさい人なんじゃないでしょうか。セレクトショップで買い物するようなユーザーに照準を合わせた、と言いますか出し方を変えてきた事で、フルラは幅広い世代からの人気が上がっているんじゃないかなと思います。

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綺麗な恰好にリュックを背負ったりとか、足元をスニーカーでハズしたりとか

新野:なるほど。ちなみに、2015春夏「これが来る!」というものはありますか?

啓太:僕が春夏で来ると思うのはアウトドア系のブランドです。例えばノースフェイスとかハーシェルとかアークテリクスとかですかね。今アーバンアウトドアとかいうキーワード、ありますよね?(笑)

新野:ありますね(笑)

啓太:なんでしょう、アウトドアブランドが評価されているのはやはり機能性があるからでしょうか。例えばゴアテックスのアウターは軽いうえに暖かいですしね。

新野:そもそもファッション自体のトレンドがカジュアル寄りになっていますよね。

啓太:そうですね。あとは各ブランドが結構リュックサックを出していて、最近人気ですよね。アレキサンダーワンやバレンシアガ、ヨーロッパですとジバンシイ・フィリップリムとか…とにかくみんな出していますね。
…アウトドアとそれが繋がるかは分かりませんが、綺麗な恰好にリュックを背負ったり、足元をスニーカーでハズしたり、あと最近は通勤着にリュックを持っている方もいますよね。前からリュックは人気ですが、そこらへんはやはり春夏に人気が一層出ると思います。

新野:時代はリュック・バックパックですね。ご自身では使ってますか?

啓太:バックパックは休みの日によく使います。

新野:ちなみにどこのものでしょうか?

啓太:僕は日本のブランドのvisvim(ビズビム)というものを使っています。

新野:個人的に啓太さんはサンローランが好きというイメージがあります。

啓太:でもサンローランも好きです。「普通」のデザインで、良いなと思います。

新野:「普通」ですか。

啓太:普通だけどパーカーの肩のカットが違うとか、そういうものがグっとくるタイプなんです。知らない人からすると「なんでそれがその値段なの?」というものが多くて…。「こんなに違うのに」というのは思いますね。ジョンスメドレーやクルチアーニなどは他のリーズナブルなものでも同じような形がある。だけどそれを買い続ける人がいる、とい感じでしょうか。

みんな同じ靴を履いていたんです

新野:まさにこだわりですね。ちなみに今後AXESで入ってくるブランドで、啓太さん的、今シーズン注目ブランドはありますか?

啓太:「ゴールデングース」です。実際ブランドが出来たのは4,5年前、もっと前かもしれませんが、一部でもう流行っていたんです。

新野:最近だと日本のセレクトショップなどでも取扱いが増えていますよね。ゴールデングースを知ったきっかけは?

啓太:見た目にたがわずぎょっとするような値段がついていて、それに目を引いたのがひとつです。それで凄くデザインも良いな、と思いまして。アディダスのスタンスミスやVANSのスケートハイをもっとスタイリッシュにした感じですね。もともとスタンスミスとかが好きだったんです。

新野:たしかに似た型ですよね。

啓太:一番衝撃的だったのが、出張でヨーロッパに行かせてもらった際に、色々なショールームに行ったんです。その時、ゴールデングースではないんですが、皆同じ靴を履いていたんです。「なんだこの靴は?!」と思いましたね(笑)

新野:その光景、見てみたかったです(笑)

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啓太:みんなこういうスニーカーを履いていたんです。ここに盾のマークが入っているデザインなんです。なんだろうと思っていた矢先、とあるショールーム行った時に接客を担当してくれた方が履いていたんです。「それは何ですか?流行りなんですか?」という話をしたら、どうやら「フィリップモデル」というブランドという事が分かりました。

新野:フィリップモデル…聞いたことないです。

啓太:「なんでみんなこれを履いているんですか?」と話をしたら「これゴールデングースに似てるでしょ?」と言われたんです。フィリップモデルはゴールデングースよりワンプライス低いんです。なので買いやすいんですよね。たまたまその方が言ったので皆がどう思っているかは分からないんですが、「これゴールデングースに似てるでしょ」という一言にすごく衝撃を受けました。

新野:それほどゴールデングースのようなスニーカーが世界中で人気なんですね。

啓太:あとIshikawaというブランドはご存知ですか?

新野:存じません…。

啓太:日本人が企画しているらしいんですがイタリアのブランドなんです。このIshikawaとフィリップモデルはゴールデングースに影響を受けているブランドだと思います。要注目のブランドです。

新野:なるほど。やはりスニーカーブームは続きますね。そして啓太さんは実際ゴールデングースユーザーということで、履き心地とかはいかがですか?

啓太:すごく良いですね。内側は全部革でつくられているうえにインソールも凄くクッション性のあるソールが入っていて、とにかく作りが良いと思います。あともちろんデザインもです。ただ見た目と値段のギャップに結構引く人は引くんじゃないでしょうか。

新野:ちなみにAXESでの入荷予定はありますか?

啓太:3月~4月頃に、メンズ・レディース共に入荷する予定です。

持っている人でイケてない人って、あまり見たことが無くて

新野:あとおすすめブランドはありますか?

啓太:アレキサンダーワンにもっと売れてもらいたいという思いはあります。アレキサンダーワンって、持っている人で「イケていない人」をあまり見たことが無いんです、個人的な感覚ですが。

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啓太:それと個人的にTby Alexander Wangというのが良いなと思ってます。ご存知ですか?

新野:名前だけは聞いたことがあります。

啓太:カットソーとかスウェットパンツとか…それこそノームコア(※)なんです。スウェットパンツとかが流行った時、一番最初にTbyが出したんじゃないかなという記憶があります。

新野:好きですこういう感じ。ザ・ベーシックみたいな。

啓太:そうですね。
とにかくアレキサンダーワンは注目されているデザイナーだと思いますね。

新野:アレキサンダーワン、要チェックですね。

※ノームコア(Normcore)…NY初の新トレンドで、ファッション業界でも話題となっているテイスト。「究極の普通」を意味する。

マルジェラがどうなっちゃうんだ!みたいな

新野:最後に、AXES関係なしで個人的に一目置いているブランドはありますか?

啓太:昔から好きというのもあるんですが、どうなっちゃうんだろうって気になっているのはマルタンマルジェラです。今がまさに変化の時なんです。
デザイナーにジョン・ガリアーノという人が抜擢されたんです。ジョン・ガリアーノは以前、ディオールのデザイナーをしていた人物なんですよ。

新野:そうなんですね。ディオールとマルジェラって随分とイメージが違いますね。

啓太:マルジェラって元々シンプルなデザインなんですよね。ジョン・ガリアーノがしてきた派手でエッジィなデザインとは真逆ですね。ジョン・ガリアーノのコレクションはもう派手で派手で。某海賊映画みたいな感じでしょうか(笑)

新野:本当に真逆の世界観ですね。マルジェラのコレクションはどんな感じだったんでしょうか?

啓太:マルジェラは10年前とコレクションが何も変わっていない、という感じですね。

新野:スタイルを貫く、といった感じでしょうか。デザイナーのマルタン・マルジェラはファッション業界でどんな存在だったんでしょうか?

啓太:昔アントワープシックスという、ファッションで一世を風靡していた人達が居たんです。有名なドリス・ヴァン・ノッテンもそのうちの一人なんですよ。そんな著名人達を輩出したデザイン学校があるんですが、マルジェラはその人達の同期なんです。

新野:そんな名称があるんですね。今調べたwikiによると「マルジェラはアントワープ6と並び称されることがある」と。

啓太:そのアントワープシックスという人達が、当時のファッション業界を牽引していたんです。

新野:名だたるメンバーですもんね。

啓太:しかもマルジェラは顔を出さないという事で有名で、誰もマルジェラの顔を見たことないんです。ブランドの「マルジェラ」は一時期からもうデザインチームが勝手にデザインをしていて、もうマルジェラ自身はもうほとんどやってないような感じだったんです。つまりはデザインチームでマルジェラが運営されていたんです。ここ何年かは。

新野:デザイナーは集合体だったんですね。

啓太:昔のマルジェラが作った空気とか雰囲気とか…お店は見た事ありますか?お店中真っ白にペンキが塗られているんです。そういった世界観をそのデザインチームが毎シーズン毎シーズン繰り返して売っていくというスタイルでした。要するにあまり変化がなかったんです。

新野:あの世界観を変えるのにはなかなか勇気がいると思います。

啓太:それでここ最近売り上げが下がってきたりして、それに変化を付けるためにデザイナーを変えたのではないかと思います。デザイナー新任はついこの前のニュース、昨年末なので多分次の春夏とかにそのデザインが反映されるんじゃないかと読んでいますね…。

新野:ジョン・ガリアーノでどう変わるのかが楽しみです。

啓太:僕も注目しているというか、ファッション業界が注目しているんじゃないでしょうか。マルジェラがどうなっちゃうんだ!みたいな感じで。注目はされていますね。

新野:なるほど、マルジェラは個人的にも気になります。とにかく今シーズンも変動の激しいファッション業界、まずは気温が上がるのを待つばかりですね…。

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AXES BUYER : 啓太 -keita-

横浜生まれ横浜育ちの生粋の浜っ子。社内では自他共に認めるファッション好きとして知られ、無駄知識の宝庫としていつも持論を語っているうるさい男。
話の内容に反して、容姿と生活は至って地味。年間の食事の約50%は麺類という程の部類の麺好き。ラーメン、蕎麦、パスタ、うどん他の種類は問わない。塩分の摂取量は目下の悩み。

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