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『ギリシャとイタリアを巡る船旅。猫を撫で、紀元前からグルメまで』ヨーロッパ写真日和VOL.310

こんにちは、吉田タイスケです。前回に続きピースボート世界一周クルーズの一部区間だけ、ギリシャ〜スペインと地中海航路を同乗した中から寄港地を二つ、ギリシャはアテネ、イタリアはサルディーニャ島のカリアリを今回はご紹介いたします。

クルーズ船はだいたい乗客が寝ている間か朝早くに寄港地へ入るので、日中は皆船に荷物を置いたまま身軽に街を散策し、同日の出航前に船に戻ります。

時間の制約があることと、あまりの混雑を避けるために今回はアクロポリスには行かず、麓のローマン・アゴラで暮らす猫やたちや、古い街並みの面影が残るプラカ地区を歩きました。

アクロポリスを見上げる位置にある、ローマン・アゴラ。

人が集まる広場として、約2000年前からさまざまな機能を果たしてきたこの場所は、19世紀まで市場として実際に使われていたというから驚きです。石柱の間に店が立ち並ぶ様子を見てみたかったですね。

中に入場しなくても、ぐるりと巡らされた囲いからアゴラを見学する分には無料です。

紀元前1世紀に天文学者アンドロニコスによって建てられた「風の塔」。すでに2000年以上前に、丘から降りてくる水の力を利用して時計も兼ねていたってすごくないですか?というか、現在も水時計なんて自分は作れませんが、、。

というわけで、プラカ地区です。イタリアもそうですが、テラスや家の外にカナリアなどを飼って、通りに彩りを添えるという習慣(?)がギリシャにもあります。

フランスではほぼ見たことがありません。どうせならクラクションよりも、鳥の歌声を聞きながら歩きたいですね。

そしてこの地区を歩くなら、空から花が降ってきそうな5月がおすすめです。どの通り曲がっても、ブーゲンビリアに祝福されます。

「花なんか、腹の足しにもならないけどねーっ」

店前に座っていた二匹の猫を撮ろうとすると、店員さんから「ウチのスタッフだから有料だよ」と冗談めかして言われます。すいません、スタッフあくびしてますけど!

店のスタッフとして雇われるくらい(?)、ギリシャの遺跡は猫天国です。「遺跡猫」だけでもシリーズになりそうですね。

ミケネコノスさん、どうもお邪魔しました。これからも聖なる守り神の一人として、お務めに励んでください。

さて、アテネの遺跡猫巡りから数日後、イタリアはサルディーニャ島の中心地カリアリへ船は寄港しました。

遺跡猫ならぬ、島犬が出迎えてくれます。どうもどうも。

旧市街入り口にそびえ立つ、サン・レミ要塞からの眺め。広場から望む新旧が入り混じった町並みは、何をポイントとして見たら良いかちょっと戸惑います。

「カリアリってどんな町?」と聞かれたら、何と答えたら良いものか←しっかりして。

そんな、要塞からのパノラマに特徴を見出せなかったカリアリですが、人がこの地に住み始めた歴史は新石器時代(約6000年〜8000年前!)まで遡ることができます。

その一端に触れるべく、カリアリ考古学博物館に立ち寄ってみました。

こちらは紀元前1世紀頃の石像。地母神的な存在でしょうか。

こちらは、、あまりに素朴で、どこか親近感を感じます。元祖かわうそくんでしょうか?(吉田戦車作)。

青銅器文明(紀元前3300〜1200年)に作られたとされる悪魔(?)像。手が4本に目が4つという姿で描かれています。

例え数千年の時を遡っても、女性を彩る装飾品は変わりません。ゴールドの間に配された赤い貴石が映えるネックレス。

こちらは今でもどこかの店頭でありそうな、アールデコ風(?)なデザインの耳飾り。

紀元前といえども細部のクオリティ、全体の完成度が高いものにはすぐに目が止まります。

この孔雀の水差しはクオリティ半端ないなと思って解説を読んだところ、紀元後11世紀頃に製作されたものでした。あれ、紀元前ではなかったか、、。

動物の水差しというモチーフには、宗教的に水を大切にしていたアラブ文化の影響が見られるそうです。

そして、カリアリ考古学博物館で最も有名な展示品のひとつがこちら。

紀元前10〜8世紀に製作されたと思われるヌラーゲ文明の石像。モンテプラマという場所で1970年代に発掘されたので、「モンテプラマの巨人」と呼ばれています。

戦士がモチーフと考えられていますが、ヌラーゲ文明についてはそもそも謎が多く、なぜこの石像を作ったのか、どこにどう並んでいたのかなどについては今もわかっていません。

ひとつ、これを見てわかったことと言えば、スターウォーズのC3POに似てるな!ということです(←オイ)。石像の発掘が1974年、スターウォーズ第一作が1977年、、十分あり得ますね(?)。

C3POについて事実はわかりませんが、ピカソを始めクリエーターが紀元前に「インスピーレーションを求める」のは自然なことで、それだけプリミティブな魅力に満ち溢れています。

さて、考古学博物館で時間旅行を終えたら、ランチは郷土料理といきましょう。

SA DOMU SARDA
https://www.osteriasadomusarda.it/

プルプッツァと呼ばれる伝統料理。豚のひき肉にワイン、スパイス、野生のフェンネルなどを合わせて炒めます。

味はもう、「白ご飯ください!」です。日本でいえば鶏そぼろとか、それと兄弟ですね。ご飯が欲しいと思ったら、後で調べたところによれば、こちらでは本来薄いパンに挟んで食べるそうです。やはり、おにぎりの具的なものでした。

地元のチーズ、、だったような、、←すいません、メモを忘れました。フランスでも良く添えられますが、チーズにはジャムやチャツネがよく合いますね。

こちらはクルルジョネスと呼ばれる、ちょっと大きな餃子のような形をしたラビオリです。中身はジャガイモのペーストとチーズ。トマトソースにバジルでいただきます。この見た目と、もちっとした食感が良いですね。粉物バンザイ。

サルディーニャ牛のステーキ。脂が少なく、淡白な味わいです。

デザートはサルディーニャに限らずイタリアといえば、のティラミスで。

ランチに合わせた白ワインは、一口飲めば海辺の風に頬を撫でられるような爽やかさ。次回はサルディーニャ島のワイン取材などで、ぜひ再訪したいところです。

ランチ後は初期キリスト教のネクロポリス(巨大な埋葬地)を訪ねて、船に戻りました。寄港地に宿泊しないのは物足りないという意見もあるとは思いますが、日帰り観光も馴れるとそれはそれで気楽なものです。手ぶらでちょっと異国を散歩するという感覚で。もう少しここにいたいという、後ろ髪をひかれるくらいでちょうど良いという気分になってきます。

さて、この写真日和ブログの次の寄港地はどこでしょうか。船の行く先は風の向くまま、波に誘われるままに任せましょう←つまり何も決まっていない。次回もどうぞお楽しみに。

『ギリシャとイタリアを巡る船旅。猫を撫で、紀元前からグルメまで』ヨーロッパ写真日和VOL.310staff

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