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ニューヨーク・ニューヨークVOL.107『KAWS展がブルックリン美術館で開催中』

(写真:KAWS_2_16_2021_0165-Large JPEG ブルックリン美術館)

今日は、マディソンです。
コンテンポラリーアートを牽引するカウズの展示が2月26日から、いよいよブルックリン美術館で始まりました。9月の5日まで開催予定ですが、それと繋がる感じで、夏8月にはロックフェラ―センタープラザにカウズの作品が登場する予定となっています。

彼、今年前半の、ニューヨークを代表するアーティストとなること、間違いなしです。



(写真:EL196.10_KAWS_UNTITLED_KIMPSONS EL196.09_KAWS_UNTITLED_KIMPSONS#2
ブルックリン美術館)

このアートのタイトルはキンプソンズ。ご存知、アメリカの人気アニメ番組シンプソンズにちなんでいます。彼のアート作品の登場人物は目をバツ印にしていますが、こちらも服装や髪形こそオリジナルのシンプソンズを模しているものの、目はもちろんバツ印。

人気アニメを模しているのに、なんだか少し寂しかったり、疎外感を感じたりするのも、彼のアートの特徴です。

(写真:KAWS_2_16_2021_0196-Large JPEG ブルックリン美術館)

カウズという名前は知らなくても、目がバツ印の人気キャラクターを知っている人は多いのではないでしょうか。というのも彼、実は数々のファッションブランドとコラボしているからです。

記憶にまだ新しいのが2019年にユニクロとコラボしたときのことで、中国でそのTシャツが大掛かりな争奪戦になったことはニュースでも大々的に報道されていました。最初はオンラインのアリババサイトで販売スタートしたんですが、あっという間に売り切れて、翌朝実際の店舗販売をする前から長蛇の列ができ、お店があくと同時に人々がなだれ込んだんです。

彼のキャラクターには、身に着けて街を練り歩きたくなる、そんな不思議な魅力があるんですね。



(写真:EL196.24 EL196.25 ブルックリン美術館)

DKNY、それに同じストリートアート出身のキース・リチャードともコラボ。

一般的にはストリート・アートと呼ばれていますが、アート界ではスプレーを用いて、電車の車両や高架下に描かれるものはグラフィティ・アートと呼ばれているそうです。発祥は60~70年代のニューヨークらしいですが、カウズの出身はマンハッタン郊外のジャージーシティ。その後ブルックリンを拠点に世界的なアート活動をしています。ちなみにキースだけでなく、バスキアもグラフィティ出身だと聞いています。

グラフィティは所有者に許可を取ることなく勝手に描くアートなので、見ようによっては単なる落書き扱いということももちろんあります。描いているところを警察に見つかれば器物破損で捕まる可能性もありますしね。ただ、そのアートには社会的メッセージが描かれていることも多く、不公平な社会に対抗しようとするストリートのパワーがみなぎっているんですね。

そんなところに若者の支持が集まり、もちろんへリングたちがスターになって行ったことも関係しますが、何といってもイギリスのバンクシーがグラフィック・アートを落書きとみる見方を変えたと言われています。彼が描くと、その壁が途方もない価値を持つので、壁の所有者たちが器物破損どころか、どんどん描いてほしいという状況になっていったそうですから。



(写真:KAWS_2_16_2021_0626 1-Large JPEG EL196.38 ブルックリン美術館)

シンプソンばかりか、セサミストリートでお馴染みのエルモも、彼の手にかかると目がバツ印。ここではしかも彼の代表作のコンパニオンを抱いています。

カウズは出身こそストリートのグラフィック・アートですが、今では絵画、彫刻、家具なども制作して、コンテンポラリー・アート界を牽引する存在になっています。コンテンポラリー・アートというのは、いわゆる現代アートのことで、アートの中でも複雑でわかりにくいジャンルに入ると思いますが、大まかには1972年以降の時期にうまれたものをさしているらしいです。

(写真:KAWS_2_16_2021_0459-Large JPEG ブルックリン美術館)

彼の代表作のコンパニオンがうずくまっていますね。

彼の作品には、愛や友情、寂しさと疎外感が溢れていると評されていますが、ここにもそれは現れていると思います。寂しいのに、でも不思議な活気もあるんですよね。

2015年からアーティスト活動を続けているカウズですが、去年2020年は自身の代表的キャラクター “コンパニオン” の生誕20周年だったそうです。それで記念にコンパニオン2020フィギュアも発表しました。



(写真:KAWS_2_16_2021_0459-Large JPEG KAWS_2_16_2021_0789 V2-Large JPEG
ブルックリン美術館)

カウズというのはアーティスト名で、本名はブライアン・ドネリー、極めて一般的なアメリカ名です。1974年に、ジャージーシティというマンハッタン郊外のニュージャージー州にある街に産まれ、そこで育ちました。後にニューヨークのスクール・オヴ・ビジュアル・アーツでイラストレーションを学んで、ディズニーのアニメ“101匹ワンちゃん”の背景を色付けしたこともあるそうです。確かに、彼の色づかいは独特で、エネルギーに溢れているんですが、切なさや苦しさも表現されているんですね。

今回の展示は彼の25年間の作品を5つのブロックに分けて、初期のグラフィティ紹介、2つ目はシンプソンズなどのアメリカのポピュラーなキャラクターを模倣した作品を紹介しています。ところがこの写真に代表される3つ目のテーマは、ソーシャルネットワークでは繋がっているものの、孤立感を増す今の時代と、孤立感から来る悲しみ、嘆き、そして不安感を表現しているそうです。確かに、インターネットで世界の隅々まで繋がっては来ているのに、その一方で固体としての人は孤立してきている、玉石混交の情報はあふれるばかりで、不安感が増す一方の社会になってきていますよね。

(写真:EL196.68_KAWS_TIDE ブルックリン美術館)

そんな寂しい情報の波にのまれそうになっているコンパニオン…静かに悲しさが伝わってきます。

(写真:KAWS_2_16_2021_0565 2-Large JPEG ブルックリン美術館)

オンライン販売を通じて自身の作品を販売、直接一般と関わってきたカウズは、デジタル化をいち早く取り入れたアーティトでもあります。

そんな彼の作風に敬意を表して、今回の展示ではAR(仮想現実)を体験できるようアプリも開発されています。ブルックリン美術館に入ると、カウズの世界を見るだけでなく体験もできるというわけです。

如何でしたか。 
ポスト・コロナで街のいろんな勢いが戻りつつあることを実感しています。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

ニューヨーク・ニューヨークVOL.107『KAWS展がブルックリン美術館で開催中』Takashi -タカシ-

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