ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

321

『ニューヨーカーお気に入りのショップ、アレックス・ミル』ニューヨーク・ニューヨークVOL.159

マディソンです。
マンハッタンで話題のショップ、アレックス・ミルに初めてきています。ソーホー店は、細部までこだわる、創業者のスピリット溢れるショップでした。
ディスプレイされている服の色、生花の色や形、すべてに心遣いがあります。それが、なんとも温かく、心地いい空間を生み出しているんですよ。

今年はこの、柔らかなピンクが人気カラーでほとんどが売り切れて、ここにある分しか残っていないそうです。短い丈の花瓶に、一見無造作に花が飾られているんですが、だからこそスウェターを手に取る人も慎重に、決して慌ただしくガサガサしなくなるんですね。

下の写真のジャンプスーツが、アレックス・ミルの名前を一躍有名にしたと思います。価格は200ドル(27,800円、1ドル139円)前後で、しっかりした材質ながら、とてもソフトな肌触りとセレブ女性たちが、次々インスタグラムに上げていきました。

もともとファッション・コンシャスなケイティ・ホームズはコートを、ケリー・ワシントンはグリーンのシャツを着てあげていましたが、メディア女王のオペラ・ウィンフリーが、ヴィンテージ・カーキーのジャンプスーツを着ているところが紹介されると、あっという間にジャンプスーツ人気が爆発的に巷に広がっていったんです。

一階奥には、アレックス・ミルを立ち上げた、アレックス・ドレクスラーの創業物語がイラストで紹介されています。

ある日彼は、完璧なシャツを作りたいという情熱に駆られて、居ても立っても居られなくなったそうなんです。薄すぎず、厚すぎず、短すぎず、長すぎず、身に着けた時にしゃんと背筋が伸びて、いつの間にか大好きになっている、そんなシャツ。そんな特別なシャツを夢見て、ソーホーのエリザベス通りに彼は、2012年に小さなショップをオープンしました。

やがて2018年になると、デザイナーのソムサック・シークハムニュン、それに小売りビジネス業界のベテランのミッキー・ドレクスラーを招いて、3人のパートナー体制がスタートしたんです。ミッキー・ドレクスラーは、オールド・ネイビーの創業者で、ギャップやJクルーのCEOも務めた小売りビジネスのエキスパート。アレックスの父親でもありました。ソムサック・シークハムニュンはJクルーのクリエイティヴ・ディレクターを務めた後、新たなチャレンジを丁度探していたころだったそうです。

ショップは1階が女性物、地下が男性物にわけられていて、地下の壁にもイラストの横に大きく、アレックスとソムサックのしゃれた写真が飾られています。

地下の男性試着室の前には、思い出の品や写真が飾られていて、試着室が混んでその手前に座って待つことになっても、全く退屈しません。

白黒写真は、父親のミッキーが友達と、ニューヨークのブロンクスで座っているところ。1957年の写真だそうです。

ショップなんですが、単に何かを買ってすぐ出たいという場所ではなく、スタイリッシュでありながら楽しくて、居心地がとてもいい、まるでお洒落な友人の家のような場所なんですね。

高さがそろった短い花瓶の、手前には裏庭にあった野草の花。
遠くに、ショーウィンドーの後ろ側にディスプレイされているのは、誰が着るのか巨大ネイビージャケット。

実はショップには、インテリア・デザイナーが入っていて、細部にまでこだわりを持ち、季節に合わせて中の雰囲気を変えているそうです。メアリー・マツォンというこの女性はロスアンジェラス在住のアーティストであり、イラストレーターだそうで、そのクライアントはアレックス・ミルだけではなく、マーサ・ステュアート、ケイト・スペード、Jクルーなど多々の有名ブランドが並びます。

このショップでは、彼女がインテリアデザインも手掛けていますが、本来は壁のイラストを描いたイラストレーターだったんですね。巨大ネイビージャケットも、野草を混ぜるアイデアも、彼女の発案だそうです。彼女は、自身のサイトで描いたり、夫のマットとプロジェクトに従事しているほかは、ぼーっと白昼夢に浸っていると自身を紹介しています。そんな時に、こうしたユニークで素敵なアイデアが浮かぶんでしょうか。

この犬(それとも猫?)のイラストもマーソンの作です。何とも楽しく、持って歩くだけでウキウキしそうなバッグに仕上がっていますね。

“ナイスな人へナイスな服を”というアレックス・ミルのモットーも彼女の好んだフォントで壁に記されています。このフォント、アメリカで90年代に青春を過ごした人なら必ずしっくりくるフォントで、当時ヒットした“フレンズ”というテレビ番組でよく使われていたんですよ。男性3人女性3人の仲間が繰り広げる、明るくて、楽しい、ラブコメディでした。このドラマを見ると、マンハッタンのカフェで友達とたむろしたくなる、そんな気分にさせられたものです。

アレックス・ミルには通常の小売りショップのような、買えという圧が何処にもないのに、逆にこちらがどうしてもどれか欲しくなる空間なんですよ。アパレルショップのオーナーさんたち必見のショップだと思います。

このパラソル、何でできていると思いますか。アレックスがこだわりにこだわったシャツの素材を、パッチワークのように繋げて出来ているんです。このホットドック・スタンドがいわゆるお支払いのテーブルなんですが、進んでこのパラソルの影に入って支払いたくなると思いませんか。

ショップを案内してくれたのが、キャメロンとエリックの二人。二人ともこのショップに勤め始めて4-5ヶ月くらいだと言っていましたが、毎日ここに来るのが楽しくてしょうがないと話してくれました。

プライバシーがあるので撮影はできなかったんですが、二人に案内してもらっている間にも、次々近所の人たちがやってきていました。これが観光客ではなく、地元の洗練されたお洒落を楽しむ人たちだと、一目でわかる人たちばかりなんですね。アレックス・ミルのカーキー色のジャンプスーツで現れた女性は、ブルーの長袖と半袖を手に取って試着室へと消えました。

さて、如何でしたか。
こんな素敵なショップ体験は、本当に久しぶりでした。ハイブランドのショップで素敵な製品を見て楽しくなる、という経験はありましたが、楽しい雰囲気自体がこんなにショップにとって大切だということに初めて気づかされたんです。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『ニューヨーカーお気に入りのショップ、アレックス・ミル』ニューヨーク・ニューヨークVOL.159Takashi -タカシ-

関連記事