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『フルラ、2024年クルーズ・コレクションを発表』ニューヨーク・ニューヨークVOL.172

マディソンです。

またまた5番街フルラに来ています。どうやらクルーズラインが発表されたようなんですね。

10月末にまずミラノで発表されると、世界中で冬のホリデーシーズンの目玉となるラインとなりますね。

フラグシップ店に入るなり、ディスプレイされています。ホリデーパーティにピッタリの色合いですね。

フルラはアメリカでは手の届くラグジュアリーとして人気ですが、イタリアではスポーティな印象のようです。手が届くとはいえラグジュアリーなのはつまり、精巧な職人技で一つ一つのバッグが仕上げられているからだと言えるでしょう。

一見するとカラフルで、しかもデザインはとても現代的かつ革新的なんですが、どことなく落ちつきもあってクラシカルなムードに包まれていいます。

5番街ショップマネージャーのヘーゼルによると、今回のクルーズラインはルネッサンス時代を意識したデザインだということでした。

ルネッサンス時代には、地方に小宮殿があり、それらがやがて統一された後に絶対王政へと進化、首都に大宮殿が出来て官僚機構もできていったそうです。

実はルネッサンスはフランス語で復興や再生を意味していて、古代ギリシアやローマ時代の文化をよみがえらせようという運動を指しているそうです。つまり14-15世紀、イタリアには大きな復興文化がきらびやかに開花していて、そうした古代文化を復興する動きはやがてヨーロッパ全土へと広がっていったんですね。

その時代の人々が身につけていたローブの赤、それに小宮殿のゴールドをイメージしてデザインされているバッグだそうです。

こちらが、創業年1927年が名前についている1927シリーズの通常モデルです。

かわってこちらが今回のクルーズラインの方の陳列。ビロードのような赤が映えていますが、丁度ホリデーシーズンということもあり、クリスマスカラーの赤はパーティ・ドレスにピッタリです。

実はフルラ、70年代に、それまでの製品群に対して高級革製品の比重を多くするべく、大きく舵を切ったと言われています。フルラといえば革のバッグと世界中で今では知られていますが、ハンドバッグやアクセサリーが製品の主流になったのは、この頃からなんだそうです。

結果、今では同社製品中83%が高品質の革製品らしいんですね。

今年は特にメタルカラーが流行なので、小宮殿をイメージした金色、流行色でもあります。おそろいのお財布も華やかですね。

フルラの特徴は確かな職人技、それなのに一捻りしたポップなデザイン、それに手が届く価格というところでしょう。

人気ファッション・モデルのジジ・ハディッドや、歌手で女優でもあるソランジュが愛用している所以です。

このモフモフも可愛いですよね。下部分は人気のオポチュニティーのグラフィックで、半分だけフェイクファーというところが、全部モフモフよりもルネッサンス的です。

オポチュニティーのデザインはもちろん、フルラのロゴが元になっています。フルラのロゴといえばアーチですが、2020年春のミラノコレクションで、CEOアルベルト・カメルレンゴは“フルラ財団の入り口にはアーチがあり、この視点こそがフルラ・ブランドのロゴたるべき象徴的視点です。皆さんはこのアーチをくぐり抜けてフルラの世界へと入り、その世界ではフルラの愛を感じ、その愛に包まれていると気づくでしょう”とスピーチしました。そんな意味が込められているロゴだったんですね。

このロゴもこの頃に新しく作られたもので、70年代の革製品にかじを切った頃といい、フルラは外の世界からブランドの意味を見つけてくる企業ではなく、内部を検証することで自分たちを再発見してきているブランドだということがわかります。

今年流行のシャイニー・カラーの中でも、銀色は特に街にあふれていて、銀色のネイルカラーまで多々見かけるほどです。ところで右手のゴールドのバッグ、本当にきらびやかですね。パーティで人々が注目すること間違いなしです。

フルラ製品が単に現代的というだけでなく、芸術性の高いデザインに溢れている背景には、フルラ社の芸術への取り組みが背景にある気がします。2000年にはフルラ社、フルラ芸術家賞などを設けて、イタリアの若い才能を開花させ、後押しするプラットフォームを構築する準備を開始しています。キキ・スミスら、錚々たる世界のアーティストたちが審査をするこの賞は若い芸術家たちの登竜門として確立、その8年後の2008年には、とうとうジョヴァンナ・フルラネットがボローニャ市に財団を設立させる運びとなりました。

やがて2016年になると、フルラ財団は、ピープホール創設者のブルーナ・ロッカサルバとヴィンチェンツォ・デ・ベリスの芸術監督のもと、ミラノ市にアートセンターをオープンしています。ファッション・ブランドの域を超えて、そのブランドが育つ土壌となったイタリアの芸術性を育み、絶やさない努力をしているんですね。

上が普通のオポチュニティーで、クルーズラインになるとこちらもポップに赤になりました。

実は5番街フルラ、“5番街”と称してマンハッタンを観光で訪れる人たちのために、ショップ近郊の地図を作成してくれています。5番街61丁目から47丁目までの区間には、こうしてみるとプラザやバカラなど高級ホテル、シャネルやプラダ、サンローランにデルヴォーなど著名ブランドが立ち並んでいる様子が一目でわかります。そんな5番街にフラグシップ店があることをきっと誇らしく思っているんでしょうね。

さて、如何でしたか。

5番街フルラは何度も来ているので、皆さんもすっかりお馴染みのブランドになりましたが、新作はいつも新しい視点で驚かせてくれます。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。

『フルラ、2024年クルーズ・コレクションを発表』ニューヨーク・ニューヨークVOL.172staff

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