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『新時代のデパート、ショーフィールズがソーホーに出店』ニューヨーク・ニューヨークVOL.62

ニューヨークから、マディソンです。 
今年に入って “5番街の宝石箱”のニックネームで知られるヘンリ・ベンデルが閉店してしまったり、ロード&テイラーの建物がWeWorkに売却されてしまったりと、デパートの減速不振がメディアを賑わせています。

ただ5番街では去年ラルフ・ローレンのフラグ店も閉店になりましたから、実態としては何もデパートに限らず、オンライン販売の勢いで小売店舗全般が不振、ということなんですが。
そんな中、新時代のデパートと銘打ってソーホーに出店したばかりのショーフィールズに行ってきました。

一階にはオンラインで立ち上がったブランドたちが並んでいます。このアイマスクがユニークなのは、少し重さがあるので、眠りやすいという点だそうです。

ブランド表示の横には、タブレットでブランドのサイトが表示されていて、その製品に関する説明も詳しく調べられますし、簡単に注文もできる仕組みになってて便利なんですよ。



アイマスク・ブースの隣にはザ・ファーマーズ・ドッグというペット食品ブランドがあります。動画で説明が見れ、注文は左側のタブレットからなので、販売する人たちが要らない、つまり人件費がかからないんですね。

上の写真を見て頂くと、ブランドごとに4-6畳の広さでこじんまりと区切られているのがわかるでしょうか。

ファーマーズ・ドッグももちろんオンライン販売からスタートしたブランドなんですが、最近テレビや雑誌などで大々的に宣伝されてきています。フリーズドライなペットフードの代わりに、昔日本で飼い猫たちにあげられていたお味噌汁かけごはんのように、生の素材がパックされています。ペットたちにも、自然な食事をあげようというコンセプトで、アメリカで人気急上昇中なんです。

3階のエレベーター前にはアートが展示されています。つまりショーフィールズはモノを販売しているデパートというより、アーティストの作品がそこここに展示されていて、一見したところではアートギャラリーの方に近いんです。

こちらはボーダーデザインのシャツ・ブランドですね。

変わったところでは、ダニエル・ウエリントンという時計ブランドがクラルナという、オンライン・ペイの会社とコラボしているブースもありました。何でもありのようですね。

実はこのショーフィールズの創業者の一人、タル・ズビィ・ナサナエルはマイ・チェックというモバイル・ペイを立ち上げた人物でもあるので、オンライン・ペイ業界には詳しいのだと思います。



ニューヨークといえば、年に2回9月と2月に開催されるNYFWニューヨーク・ファッションウィークですが、そのNYFWの母体がこの、CFDAカウンシル・オヴ・ファッション・デザイナーズ・オヴ・アメリカなんです。1962年に立ち上がって以来、現在450名ものアメリカのファッションやアクセサリーのデザイナーたちがメンバーに登録しています。

実は新進デザイナーの作品を紹介する目的でCFDA自体がショーフィールズの中に場所を借りていて、何ヶ月毎に展示作品を変えるんだそうです。CFDAのポップアップ・ブースですね。

CFDAの向かいにはアート作品。近年のテクノロジー環境を表現しているようですね。

ロボットの近くに寄ってみると…わかりますか?写真を撮ろうとしている私が、スクリーン下方にイラストで映っていますね。テクノロジーとソーシャル・ネットワークの可能性を探るアートだそうです。

隣のアートも、コンピューター時代を象徴しているようです。

案内してくれたジュ―リーが指しているのが、滑り台の入り口なんです。3階のここから2階へは、もちろんエレベーターも使えますが、滑り台で降りることもできるようになっているんです。新時代のデパートは、モノを売る場所ではなく、体験する場所だということなんですね。

…滑り台の出口はこのように命にあふれています。コンピューターの亡骸の入り口から、生命溢れる場所へと、そんな物語があるんですね。

先述のナサナエルは、このショーフィールズで“不思議にあふれ、クリエイティブなブランドをつなげる場所、世界を違った視点で見られる場所づくりがしたかった”とインタビューに答えていますが、無機的人工的な世界、モノたちがきちんと揃って陳列されたデパートから人々が離れ始めているのは、こうしたゴツゴツの手作り感ある、芸術家たちが進化しつつあるプロセスを感じさせる場所へと、人々が回帰したがっているからなのかもしれません。



さて、これ何だと思います?マザーダート、母なる土という意味なんですが、このブランドはバクテリア配合のスキンケア製品をオンライン販売しているんです。

最近の除菌ブームに反旗を翻して、人類始まって以来人々の肌を守ってきたのはAOBというバクテリア、つまり細菌なのだから、細菌スキンケアに帰ろうというコンセプトなんですね。肌を強く美しくするには、ですから除菌ではなく加菌、最近入りローションやクリームを使うことなんだそうです。

少し怖かったんですが、手の内側にスプレーしてもらいました。冷っとしただけでなく、命に肌を守ってもらう、助けられるという感覚で、心なしか肌が強くなったように感じましたよ。

アメリカは今ポップアップ店ブームです。期間は3ヶ月から6ヶ月が一番多いようですが、マンハッタンは家賃が高騰しているので、それでも新進デザイナーにとっては大変ですよね。

オンラインで立ち上げたブランドにとって、マンハッタンの人々の目に触れるエリアに、小さいながらも自分のブランドを発信できる場ができるのは、とってもエキサイティングなことだと想像できます。そうして、そんな場をスタートさせたショーフィールズ、これからマンハッタンに来るたびに、どんな新進ブランドに会えるのか、訪れるのがとっても楽しみです。

如何でしたか。また次回もニューヨークでお会いしましょうね。

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