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ニューヨーク・ニューヨークVOL.106『ナヌシカ・ワールドへようこそ』

今日は、マディソンです。

ソーホーに来ています。近年のソーホーはハイブランドだけでなく、世界中から“我こそは”と名乗りを上げるインディーブランドの出店が後をたちません。2~3ヶ月毎にかならず、新しい素敵なショップを目にするんです。

今回は、ニューヨーカーたちが粋な空間と絶賛しているナヌシカの、ブテイック&カフェを訪れてみました。



このアーティステイックに彫られた木のオブジェ、他のブティックとは一線を画します。

ナヌシカは2016年にサンドラ・サンダーが立ち上げたファッションブランドなんですが、2016年にパートナーのピーター・バラダスズティがCEOとして加わってから、起業色の濃い積極的展開をするようになりました。

フラグシップはハンガリーのブタペストに出店し、今では世界30ヶ国のブティックやデパートで販売されています。ところが自前でオープンしたマンハッタン・ソーホー店は、ファッションブランドとしてというよりは、ライフスタイル・ブランドとしてナヌシカ的世界を表現するために、ブティックにカフェが併設されているんです。



ヨーロッパの職人たちが作り上げた家具で統一された、暖かく穏やかでシックな空間。木彫りや手作り家具があくまで柔らかく配置されています。色彩もニュートラルで。

品質にこだわった素材と、優れた職人技でありながらも、自信満々に見せつけない。“能ある鷹は爪を隠す”的アプローチに美学を感じるサンドラは、女性らしさという点でも、ほのかにふんわりと香るデザインを心掛けているようです。

ニューヨークの女性たちは一見タフに見えますが、実はこうしたほのかなフェミニン・アプローチが大好きなようで、ナヌシカの売り上げの20%ほどが北米単独から、そのうちの半分が2019年にオープンしたばかりの、このソーホー店からだとサンドラがインタビューに答えていました。





有機的なムードが漂う店内には、花など植物も配置されていますが、その器もまあるく、優しいですね。一言で表すと、ほっと落ち着く空間。マンハッタンの喧騒から店内に入ると、有機的で温かい空間が用意されている、という感じでしょうか。1970年代の居間に、現代アートを組み合わせているようですね。

ソーホー店がオープンして以来、トップモデルはじめたくさんのセレブがナヌシカ・ファッションをインスタに上げてきました。一時期マーガレット・ザンからジジ・ハディットまで、まるでユニフォームみたいに、みんなが同じナヌシカのジャケットを着ていることがあり驚かされたものです。価格的には200ドル前後で、高額アイテムでも400―500ドルまででセレブでなくても手が届きますから、その後ニューヨーク中でこのジャケットは溢れました。

そうそう、昨年11月には、ケイト・ハドソンと彼女の兄のオリバー・ハドソンもナヌシカ・ファッションで現れたところを撮られていましたね。



カフェも70年代モダンと現代アートが融合された空間になっています。日曜の午後、ラテを味わいながら、ゆったりと買い物が楽しめます。



ナヌシカでは単に見た目の美しさだけでなく、素材がその後環境の中でどう分解されていくのか。廃棄後自然と環境になじんでいくのかといったサスティナビリティ意識をきちんと、製造段階から考慮に入れています。優しいのは人の目にたいしてだけでなく、環境にもという点が徹底しているんです。その点では、ナヌシカ・ファッションで歩くことは、一つの環境意識宣言でもあるわけですね。



モダンアートだけでなく、もちろんブティックなので服も置いてあります。色合いも暖かく柔らかいですね。

実はナヌシカ、社会貢献のためのチャリティー活動にもかなり積極的だと聞きました。ブランドのミッションとして、自分たちの活動を支えてくれている社会に何かを返すことを強く信じているのです。

BIBIファンドという小児脳性ガンのための基金にはオークションを開催後、その収益金1ミリオンダラー(1.1億円 1ドル109円)を寄付しました。去年2020年の春夏コレクションでは、ノア・スタジオとのコラボで、アクセサリー制作をハンガリーの田舎テレニー村で行いました。この村では就業の機会がもともと少なく、特に女性にはほとんどその機会がありません。そこでナヌシカがたちあがったというわけです。それだけではなく、2019年ナヌシカは565メートルにも及ぶサスティナブルな布素材を、ハンガリーの国際劇場や大学に、寄付しました。この活動は今も続けています。

つまり、ナヌシカを身に着けるセレブたちは、静かな自信にあふれたフェミニンさが香るデザインだけでなく、社会貢献を信じる姿勢をも発信できるというわけです。

さて、如何でしたか。

デザインの良さ、素材の良さ、優れた職人技はもちろんハイブランド人気を世界中に広めました。その上今私たちは、ブランドのミッションや、環境への配慮にも敏感になってきているような気がします。自分たちの身に着けるものが何処から来てどんな工程をへて、誰が携わって作られているのか。そして自分たちの手を離れた後身に着けたものたちが何処にいくのか。モノの一生について包括的な見方をしていく場合、デザインとは別のテーマがひそんでいることに気付かされます。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

ニューヨーク・ニューヨークVOL.106『ナヌシカ・ワールドへようこそ』Takashi -タカシ-

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