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『ルイヴィトン、生誕200周年記念ポップアップ』ニューヨーク・ニューヨークVOL.145

マディソンです。

今年は何とルイヴィトン生誕200周年らしいです。

そこでマディソン街と61丁目の角にあった旧バーニーズ建物内を改装して、ポップアップ展が10月14日から年内一杯開催されているんですね。

オンラインでチケットを事前に購入しなくてはならなかったんですが、ホリデーシーズンで街はかなりの賑わい。なかなか取れず、ようやく取れたと思ったら、すぐに取り直しの表示が出たりと、その人気ぶりがよくわかりました。

まるでチケット購入サイトがパンクした、ティラー・スウィフトのコンサート・チケットを思わせる展開だったんです。

200周年を一区切りに、これからの未来に向けて、ということなんでしょうか。

不思議なエントランスが用意されていました。それにしても、ほんの2ヶ月半のために内装が凝りに凝っていて凄いですね。

今回の展示は200周年ということで、200人のアーティストにルイヴィトンのトランクをイメージしたアートの作成を依頼、それらを展示しています。一つ一つに番号がついているんですが、最初に登場したのが26番でした。何とも未来的なトランクです。

ロスアンゼルス在住アーティスト、ウイロ・ペロンによるものなんですが、彼はインテリア・デザイナーでもあり、単一素材を使ったシンプルなデザインで自身の世界観を表現することで知られています。一方コンサートなどのステージをデザインした経験も多々あり、そんな中デザインの楽しみ方は一つではなく、それ自体が動いたりと娯楽性を持つものが良いという考えに達したのだそうです。

そんな両方の考え方が、このアルミニウムのトランク、一件シンプルな箱型が、スイッチで中が開くというパフォーマンスに繋がったようですね。



一階会場には、様々なアーティストによるトランクが一斉に並んでいるんですが、その中でも、パリのポップミュージック業界に君臨する、ル・インペラトリスのリードシンガー“フローラ・ベンジジ”が印象的でした。彼女ってパリ版レディーガガのような存在でしょうか。

ちなみに、このトランクは164番と表示されていました。

一階から三階に渡ってトランク展示があるんですが、二階会場はこのブルーのトンネルで仕切られていました。

トランクの過去、現在、そして未来。トランクを模したアートはペイントされているもの、先ほどのような動画、写真、AR、言葉が書かれているだけのもの、さらにはパフォーマンスと、その表現方法はさまざまです。

どうやらルイヴィトンは今回のポップアップで、200年を超えて未来に繋げていくための哲学を、企業ミッション以上の何かを模索しているようです。

この風船によるトランクは、ブルックリン・バルーン社を創業したロバート・モイによるものです。番号116番。

彼はボストン大学でコミュニケーションを専攻した後、グラフィック・デザインや照明を業として働いていたんですが、ニューヨークへ移り、FITでジュエリーを専攻したのち、自身のジュエリー・ブランドを立ち上げました。

ある日社内パーティに飾ってあった風船で遊んでいる拍子に、これだ!と感じたそうです。従来あったありきたりな風船ではなく、モダンでフレッシュで、奇想天外なバルーンアートが面白いのではないかと。

今回の展示でも、ひときわ映えのする展示で賑わっていましたが、何しろ素材がバルーンなので割れてしまっては大変と、スタッフの女性は“そばに寄らないように!”と声をからしていてお気の毒でした…。



上の写真の展示では、その背景のヴィトンのスカーフがまるで波打っているかのようで、強烈な迫力を感じました。

下のアートは番号41番、バルナバ・フォナセッティとヴァレリア・マンツイ作とあります。フォナセッティは自身のアトリエを持つイタリアのアーティストで、マンツイの方はミラノのブレラ・アカデミーで教鞭をとっているキュレーターだそうです。

今回の展示でとっても興味深かったのは、ニューヨークとヨーロッパは飛行機で6から8時間と国内の西海岸に飛ぶくらい近いんですが、なかなかパリやミラノのサブカルチャーにニューヨーカーは馴染みが無いんですね。ヨーロッパ大陸のアーティスト達の視点が本当に新鮮に感じました。



3階に上がると、今度はイギリスのマジシャン、ダイナモがトランクを瓶の中に入れてしまったという展開です。

通称ダイナモ、スティーブン・フレインは西ヨークシャーのブラッドフォード出身だそうです。イギリスの彼の番組“ダイナモ”は世界2億5千万人に視聴される大ヒット記録を樹立し表彰されました。“百聞は一見に如かず”がテーマの彼の世界ツアーは、75万人がそのチケットを購入して会場につめかけたそうです。

そんな彼が、不可能はないとトランクを瓶の中に入れたということらしいですね。

トランクを使って、多々のアーティスト達がさまざまに自身のアーティステイック的世界観を表現してきましたが、一番オーソドックスで落ちつくのが、何といってもオリジナルのこのスタイルでしょうか…。



今回のポップアップのもう一つの見どころが、バーニーズ時代に9階にあったレストラン“フレッズ”の再現でした。

当時はミッドタウンのパワーランチの場所として、男女半々くらいだったと思うんですが、この日は女性が90%以上!男性のお客さまは広いレストランの中で2人くらいしか見当たりませんでしたよ。

確かにバーニーズの頃はモダン・ビストロというコンセプトで、全体的に重厚な茶色のデコで、パワーランチでお酒を飲む人たちを対象にバー・スペースがかなり割かれていたものです。ナプキンやアールデコ調のナイフやフォークはそのままですが、店内はルイヴィトンとのコラボらしくポップに明るい仕上がりなので、それで女性たちを惹きつけている感じがします。

全部見終わって外に出る扉の前には、お約束のギフトショップがありました。チケットで時間帯ごとの人数を制限しているせいか、じっくりと見て回れます。

写真の女性たち、“まあ、ヴィトンのスケボーまであるわ!”って話していました。手前はチェスボードですよね。

さて、如何でしたか。

旧バーニーズの外側もポップで、遠くからでも人目を惹きます。バーニーズが閉まった後のこの建物はアートハウスといって、ヨーロッパの高級アートフェアをニューヨークに持ってきたりとユニークな活動で知られている企業が運営しています。ヴィトンのトランクも、200年もの間人々に愛されてきたヨーロッパの高級アートの一つというとらえ方なんでしょうか。

見ごたえ十分なポップアップだったので、ホリデーシーズンのニューヨークを訪ねる方には是非お勧めしたいところですが、何せチケットがなかなか取れません。中の感じをご紹介できて本当にホッとしています。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『ルイヴィトン、生誕200周年記念ポップアップ』ニューヨーク・ニューヨークVOL.145Takashi -タカシ-

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